甘い一時

菜「メリークリスマスっ!」
理「お、おう」
菜奈はご機嫌のようだ。
というのも二股騒動は勘違いだったしプレゼントはもらえるし久しぶりの息抜きという事で夏のプール以来のはしゃぎっぷりだ。

ケーキを食べ終え、一息つくと、
菜「ねえねえ、プレゼントは?」
もし犬だったら『ちぎれるんじゃねえか』と言いたくなるぐらい尻尾を振りまくっていると思うぐらい菜奈はご機嫌だ。
理「はいよ、ちょっと待ってろ」
サプライズのつもりだったがわんわん泣いてる菜奈を慰めている時についプレゼントの事を言ってしまった。
まあそうしないと河本知美と一緒に写っている理由を説明できなかったのだが。
押入れの中からプレゼントを取り出す。
理「ほい」
菜「中開けていい?」
理「ああ」
ラッピングされた包装紙を取り、熊のぬいぐるみが出る。
菜「わあ…!」
菜奈は大喜びのようだ。
こういう顔が見れて良かった。
グッジョブ、河本知美。
昼飯を奢った甲斐があった。
………そういえば、俺へのプレゼントはないのだろうか?
理「…ところで、菜奈からのプレゼントは?」
菜「……あの……その…ね……無い…の」
うーん、残念。
まあ俺が菜奈にプレゼントをしたかったから買っただけだし、見返りを求めてはいなかったし。
理「ん、そっか。無くても別にいいけど」
菜「た、ただね…前みたいに二股とかされるのやだから………理央が私にメロメロになっちゃう事するから…」
理「メロメロってなあ……メロメロはしっ…」
メロメロは死語だぞ、と言おうとした瞬間、菜奈は俺を押し倒す。
何が起きたのか軽くパニックになる。
理「えっ、なっ、おっ?」
菜「じっと……しててね」
菜奈がキスをしてくる。
菜奈がさっきまで食べていたケーキの味がじわりと口に伝わる。
ちゅ、ちゅっと唇と唇が擦れる音が聞こえる。
それと同時に菜奈が使っているであろうシャンプーの匂いがふわりと鼻に届く。
それだけではなかった。
菜奈はこちらの手をつかみ、自分の胸元に引き寄せ、触れる。
厚手の服のためほとんどわからないがその奥に柔らかい何かを感じる。
続けざまに菜奈の足がこちらの足に絡みついてくる。
足独特の筋肉の柔らかさと温もりがじんわりとくる。
味覚、聴覚、嗅覚、触覚、そして視覚が全て菜奈に染まっている。
頭がぼおっとしてくる。
初めての感覚だ。
それも徐々に強くなっていく。
一体どうなってしまうのかわからない。
そのぼおっとしたものが一気に弾けた。
菜「はぁ……はあ……はーっ……ど…どうだった?」
理「…の…脳味噌が溶けた」
実際に溶けたら一大事だがそのぐらい頭がぼーっとしている。
…………ホントにメロメロになったのかもしれん。
菜「も……もっかい………して…いい?」
理「お…お願いします」
断る理由なんてない。
ただ、このケーキよりも甘くて濃い時間をもっと味わいたかった。
菜奈は今度は両手をこちらの首にまわし、熱い抱擁をしながらキスをしてくる。
理「んっ……ふっ………りぉ………すきぃ……」
今まで聞いた事のない菜奈の甘ったるい声。
また頭がくらくらしてくる。
……………だめだ。
ホントに菜奈無しでは生きられない身体になったのかもしれない。

後書き

すごい余談ですがこの後はそのまま帰宅という流れです(笑)。
えっちはしていませんし、まだしてもいません。
まあそれに関してはおいおいという事で。
えっちな行為についてはかなり悩みました。
…『過去形』なのですでに結論は出ているんですけどね。
それでは次回にて。