理「ううっ、寒い寒い」
大急ぎで家に帰り、居間のコタツのスイッチを入れてすぐさま足を突っ込む。
しばらくすると、足がじわじわと温かくなってきた。
理「ふーっ…」
極楽。
理「やっぱコタツは冬のお供だな…」
コタツがなかったら人類はきっと凍死しているだろう。
コタツのど真ん中にあった蜜柑を手に取り、皮を剥く。
蜜柑を食べつつぬくぬくしていると玄関のドアが開く。
母が帰ってきたのだろうか。
しかし、ただいまの声は無い。
父はまだ仕事のはず。
誰だろう、と思っていたら、足音がこちらに近づく。
居間の戸をガラッと開けて入ってきたのは菜奈だった。
菜「寒い寒いっ」
何故ウチへ来る。
菜「あ、理央、お邪魔するね」
遅いだろ。
そしてすぽっとコタツに入る。
理「おいっ、入るなよ。せっかく温まってきたのにまた冷えちまうじゃねえか」
温かい空間にキンキンに冷えたものが入れば嫌でも冷たくなってしまう。
菜「何よ、せっかくの彼女が理央の家に来たっていうのにその態度?」
理「…『彼女』というものを特権のように使ってないか、お前」
菜「……へー、そういう事言うんだ」
理「言うに決まってるだろ。とっとと家へ戻れ」
菜「ふーん……」
菜奈がもそもそと動いている。
どうもコタツの中で何かをしている。
菜「はい、居座り代」
ぽいっと何かをこちらに投げてきた。
それを両手で受け取る。
布だった。
しかしよく見てみるとただの布ではなかった。
何本かヒダがついており、紺色の布で筒に近い形状をしており、筒の径を調整すると思われるホックが付いている。
………スカート…か?
何の?
……………菜奈の?
理「はぃっ!?」
今俺が持ってんの菜奈のスカート!?
菜「どう?居座り代としては上等でしょ?」
理「…文句ありません」
これで文句言ったらバチが当たる。
改めてスカートを見てみる。
こういう構造になっているのか。
ジーンズとはちょっと違う構造だ。
菜「…やっぱり珍しい?」
理「そうだな。菜奈はよくスカートはいてるからわかんねえけど、男から見れば珍しいと思うぞ」
…そして何よりも菜奈が先程まではいていたという事だ。
菜「……頬ずりしたらぶん殴るからね」
理「うっ」
釘を刺された。
理「……それじゃ温まったし、出ようかな」
菜奈が発したのはとんでもない一言だった。
理「は!?ちょっ!お前スカートねえだろ!?」
肝心のスカートは俺の手元にある。
菜「うん」
さらりと返してきた。
理「ちょちょちょちょっ、ちょっと待て!?俺心の準備がっ…!」
こちらの心の準備が出来ていないにも関わらず菜奈は立ち上がった。
思わず手で目を隠す。
菜「………見てもいいよ」
理「はっ!!??」
何その誘惑の一言!
理「ばっ、バカ!いくら幼馴染経由だからっ……!」
しかし、言葉とは反対に手は目から離れていく。
誘惑には勝てません。
で、立ち上がっている菜奈を見ると、下着ではなかった。
半ズボン。
というより短パンといった方が近い。
しかも見覚えのあるやつ。
理「………これ…体操服の短パンか?」
菜「うん、正解」
だから平気で立ち上がれたのか。
……………ちょっと残念。
しかし、今の菜奈の服装は特殊だった。
上がブレザーで、下は短パン。
………………。
理「こ、こんな恰好は滅多に見れないからもう少し拝んでおこぶっ!」
菜「ジロジロ見ないのっ!」
蜜柑の皮手裏剣炸裂。
菜「もおっ、理央ったらスケベなんだから」
理「お前が脱いだんだろ…」
菜「それはいいからスカート返してよね」
理「はいよ」
スカートを渡す。
菜「それじゃ、帰るからね」
菜奈はスカートをはこうと後ろを向く。
理「おう、とっとと出てけっ…てブッ!!!!」
理央が吹く。
菜「何?どうしたの?」
しかし菜奈は気づいていない。
理央が吹き出した理由は自分だと言う事に。
理「お……お前………パンツ出てる」
白と緑の太い横線が交互に並んだ下着。
通称しまパン。
それが短パンの上からはみ出ていた。
原因は腰を床にすりつけながらコタツから出たせいです。
菜「っっ!!!」
状況を把握した菜奈はすぐさま蜜柑を手に取って理央にめがけて投げた。
菜「理央のスケベーッッッ!!!!」
蜜柑丸ごと爆弾炸裂。