ピピピピッ、ピピピピッ。
目覚まし時計が部屋中に響く。
……うるせえなあ。
もう少し寝たいのが本音。
けど、セットしたのは自分自身だからどうしようもないけど。
むくりと起きて時計のスイッチを押す。
部屋に響いたアラーム音が止まる。
理「ふわーあ…」
大きな欠伸をし、ぐっと身体を伸ばす。
理「さてと、学校に行くとしますか」
パジャマを脱いで学生服のブレザーを着る。
朝食を食べ終えて歯磨き、洗顔。
鞄を持って家族に一言。
理「ほんじゃ、行ってきまーす」
玄関を開ける。
と、そこには一人の少女。
肩をくすぐる程の長さの黒髪をリボンで結び、ツインテール状にまとめている。
服装は学校の制服。
自分と同じ学校の制服だ。
理「お、今日もピッタリか。菜奈」
菜奈と呼ばれた少女はムッとする。
菜「…『おはよう』でしょ?理央」
理「へいへい、おはよう。菜奈」
この少女、菜奈は2件隣の家の幼馴染。
幼稚園から小学校、中学と続いてさらに高校も一緒。
これを幼馴染と言わなかったらなんと言うのだろう。
理「しっかし、お前も律儀っつーかマメというか…毎朝起こしに来るなんてな」
菜「しょうがないでしょ、子供の頃からのクセみたいなものなんだから」
理「…幼稚園からのこのクセは治んねえのかね…」
菜「あ、あんただって私が来る時にちゃんとこうやって来てるじゃない」
理「……クセだよ、クセ」
お互いの朝の行動をクセと言い張る2人。
他人から見てれば恋人のように見えるだろう。
でも、2人は幼馴染。
それ以下もなければそれ以上もない。
菜「ああもうほら、遅刻しちゃうわよ」
理「はいよ」
靴を履き、腰を上げた。
学校に行くまでの間、菜奈と話をする。
昨日のテレビ番組や昨日の出来事とか。
これも昔からずっと続いている。
ふと、疑問が浮かんだ。
……ずっと続くのだろうか。
こんなのが。
……まあ、いいか。
楽しいし。
『幼馴染』。
多分、この関係である限り、ずっとなのだろう。