朝食を食べ終え、玄関で靴を履く。
…あともうちょっとで卒業か。
3年ってあっという間だな。
そう思いながら靴紐を結んでいると、玄関の戸が開いた。
菜奈か。
菜「理央、おはよう」
予想通り菜奈だった。
理「おう、おはよ………ん?」
視線を見上げて菜奈を見ると、いつもと違う。
髪型だ。
いつもならツインテールなのに今日はストレートにしている。
理「どした?いつもの髪型は?」
菜「いつもつけてるリボンが使い過ぎて切れちゃったの」
理「あー、そういう事か」
片側だけつけてもしょうがないか。
菜「今日は学校終わったらリボン買いに行こうかな」
理「そっか、じゃあ俺も付き合うわ」
教室に入るなり、全員が菜奈の強制イメチェンに反応した。
いつもの髪型ではないとこうもリアクションが違うのか。
……何か男子の視線が妙に菜奈に集中しているような気がする。
………自分は何も変化はしていないが何か落ち着かない。
放課後まで違和感は続いた。
授業の内容は耳に入らなかったが、もう大学も受かったし別にいいだろう。
菜「理央、買物に付き合ってね」
理「おう」
街に向かう最中、髪型の変化によって生まれた事を聞いた。
菜「男子の視線?そんなに変だったかな?」
菜奈は気づいていなかったようだ。
理「変じゃなかったけどさ、ギャップっていうのか?」
ストレートに下ろした菜奈はいつものツインテールに比べると少し大人っぽく感じる。
一足先に大学デビュー。
そう思った。
街中のデパートに入り、リボン売り場に到着。
理「そういや何色のリボンにするんだ?」
菜「うーん……特に決めてないけど……理央は何色がいい?」
理「んー………」
菜奈のイメージカラーか。
棚にずらっと並べてあるリボンを眺める。
白ではないし、赤でもない。
ピンクとも違うし黄色でもない。
あとは……。
理「若草色」
これが菜奈のイメージカラーだと思う。
菜「…………それ、前と同じ色」
理「えっ!?そうだったか!?」
菜「んもー、ちゃんと覚えててよ」
結局前と同じ若草色のリボンを購入した。
菜「じゃあ早速付けるね」
菜奈はトイレに向かった。
3分程待っていると、菜奈が来た。
もちろん、いつもの髪型。
理「うーん、やっぱ菜奈のシンボルっつーかトレードマークだよな」
ようやく違和感が消えた。
菜「他の髪型は見たくないの?」
理「ん?まあ見てみたいけどさ、男の視線が気になんだよ」
菜「気にし過ぎよ、男の人に声かけられた事もないし」
…いや、不安なんです。
彼氏としては。