偽り

本日は菜奈の家で勉強中。
理「ふー…終わった…」
ぐっと背伸びをする。
ふと、対面に座っている菜奈の服装を見る。
今日は上がスウェットで下はジーンズ。
このパターンはちょくちょく見るから部屋着なのだろう。
………またしてもらえないだろうか。
理「な、なあ菜奈」
菜「なあに?」
理「ま、またしてもらえないか?膝枕」
菜「えっ!?」
この驚きのリアクションからすると予想してなかったようだ。
理「い、嫌か?」
前回涎を垂らしてしまったのでダメかもしれない。
菜「い…いいけど…」
ダメかと思ったが、また膝枕を堪能する事ができる。
菜「そ、その代わり仰向けで寝てよ」
理「わかった」
仰向けだろうと何だろうと膝枕をしてくれるのならお安い御用だ。
ベッドの上に正座をして待機する菜奈。
理「んじゃ行くぞ」
菜「う、うん」
頭を太腿の上に乗せる。
ジーンズの硬さが少し目立つが、それでも太腿の柔らかさを堪能できる。
……………………。
ふと気づいたが…………。
この光景は…………。
寝れない。
よく考えてみたら菜奈の顔がものすごい至近距離だ。
な、なんか一気に緊張してきた。
理「…ね、寝れねえ…」
菜「え、どうして?」
理「い…いや…菜奈の顔が近いし寝顔を見られるのはちょっと…」
前回はうつ伏せだったから問題なかった。
菜「……これならどう?」
理「え?あっ…」
ぽふっと菜奈の手がこちらの目を覆う。
菜奈の手によるアイマスク。
なるほど、これなら意識せずに寝る事ができる。
それに手の温もりが気持ちいい。
理「おお、これなら大丈夫だ」
これならすんなりと寝れる。

5分経過。
…そろそろ寝ただろうか。
ゆっくりとアイマスク代わりをしていた手を離す。
理央の反応は無い。
どうやら寝てるみたい。
……………。
菜「頑張ってるんだね、理央」
一緒の大学に行けるように頑張ってくれているのがたまらなく嬉しかった。
ふと、理央の家で恋愛ゲームの事を思い出した。
キス。
………………。
し…しちゃっても……いいよね……恋人…だし。
ど、どこにすればいいのかな。
口は……だ、だめっ…ここは大事にとっときたいし…。
……………おでこならいいかな。
菜「……起きちゃ…やだよ…」
…ちゅ。

30分後。
理「……んー…」
理央が目を覚ます。
菜「あ、起こしちゃった?」
理「…いや、もう十分寝た」
菜奈が時計を見る。
菜「そろそろ時間だね」
理「ああ」
2人で玄関まで行く。
菜「じゃあ、また明日ね」
理「…………」
しかし、理央からの返事は無い。
菜「…理央?」
理「…あー…んーと…」
頭をボリボリとかく。
理「…その……さ…」
理央が顔を赤くする。
理「…今日、昼寝……してないぞ」

理「じゃ、じゃあな」
言いたい事を言って菜奈の家から出る。
耳を塞いで自宅へと走る。
まさかこんな事になるとは思わなかった。
耳を塞いでいるから聞こえないが、多分『いやー』と叫んでいるだろう。
ああもう、明日からどんな態度で接したらいいのやら。

後書き

今回から進展話になります。
今回は『でこちゅー』でしたが次はまともなのになります(笑)。
恋愛モノは今回のプロジェクトで6つ目になりますが、こういう進展話は不思議とダブる事が無いです。
書いたモノは綺麗さっぱりと忘れてしまうのですが、ダブりについては無意識のうちに回避しているのかも。
マンネリ気味だけはなんとしてでも避けたいものです(苦笑)。
それでは次回にて。
今回のコラムはこちらっ