小悪魔

本日の勉強会は終了。
菜「じゃね、理央」
理「おう」
菜奈が玄関のドアを閉めた途端、
ザーッ
ゲリラ豪雨発生。
理「うわっ、スゲエ雨だな」
つい先程家を出た菜奈が気になった。
菜奈の家はすぐそばだから問題ないか。
そう思った直後、玄関のドアが開いた。
入ってきたのはさっき帰ったはずの菜奈。
理「どうしたんだ?家に帰れば良かったじゃねえか」
菜「お母さんが家のカギかけちゃったの。今カギ持ってないし」
だから戻ってきたのか。
理「ん、そっか。じゃあしばらくウチ……にっ!?」
すけっ。
思わず目を逸らした。
菜「どうしたの理央?」
理「おっ、お前の服が雨で透けてんだよ!」
菜「あっ!……ご、ごめんね」
理「い、いや」
どっちかというとありがとうございます。
理「と、とりあえず服乾燥機に入れてこいよ。すぐに着替えもっていくから」
菜「うん」
菜奈は乾燥機のある風呂場へと走っていった。
さて、着替えを用意しておくか。
2階に行き自分の部屋のタンスを開ける。
とりあえず自分のTシャツならダブつくけど着れない事はない。
適当に一枚取って風呂場へと向かった。
風呂場では乾燥機が稼働している音がしている。
風呂場へと続く脱衣所への戸は閉まっていた。
戸をノックした。
理「菜奈、着替えのTシャツ持ってきたから乾くまでこれ着てて」
菜「うん」
戸が少しだけ開き、その隙間にTシャツを差し込む。
そのままするりとTシャツは自分の手から離れていった。
さて、あとは服が渇けば問題ないか。
居間でテレビを見ながら菜奈を待つ事にした。

数分後。
ととと、という足音が風呂場の方からしてきた。
菜奈か。
まだ服は乾いていないだろうからしばらく居間でゆっくりしてもらおう。
菜「理央、まだ乾いてないから待ってるね」
理「ん、あ………あっ!?」
菜奈の恰好にぎょっとした。
確かに自分のTシャツを着ている。
が、一番でかいサイズだったため、菜奈の身長だとかなり大きくなってしまい、穿いているはずのキュロットスカートが見えない。
よって、『下は穿いてません』というえげつない恰好のようになってしまった。
まさかなんとなくで買ったTシャツがこんなところで凶器に変わるとは。
菜「どしたの?理央」
菜奈は気づいていない。
いや、気づく必要は無い。
下をちゃんと穿いているから別に気にしなくてもいいからだ。
理「あ、いや、なんでもない」
……こっちは気になる。
…………白黒はっきりさせる必要がある。
理「な、なあ菜奈」
菜「うん?」
理「ちゃ、ちゃんとスカート穿いてんのか?」
直球過ぎたかもしれないがこれしかない。
菜「え?穿いてるよ?」
菜奈はぺろっとTシャツをめくった。
理「!」
確かに穿いていた。
が、それより上にめくったため、菜奈のへそが見えた。
ぶっ。
鼻血。
菜「りっ、理央!?どうしたの!?」
理「おっ、お前……ずるいぞそれ…」

後書き

10年くらい前には『ゲリラ豪雨』という言葉はありませんでした。
せいぜい『通り雨』という表現ぐらいしかない時代でした。
そういえばとても強い風、雨を『猛烈』という表現で表したのもここ最近のような気がしますね。
猛暑日もここ2、3年ほど前に定着したのでもう10年ほどすれば新しい表現の言葉が誕生するのでしょう。
………異常気象とか何も無ければ生まれないんですけどね。
それでは次回にて。