2学期。
受験生にとっては非常に大事な時期。
とはいうものの、学生は勉強だけではない。
文武両道をこなしてこそ学生。
というわけで運動会。
内容は去年と変わらない。
つまり選抜競争400メートルの部も同じだが、立場が違う。
3年生という事は部活動をしていた人はすでに部活を引退している。
つまり、全員が帰宅部となっているため、選抜競争となるとレベルが去年の時とは明らかに違う。
理「えぇーっ、また俺?ていうか何で3年連続で選ばれんだよ」
そして今回も理央が選ばれた。

最後の選抜まであと少しとなり、理央はストレッチをする。
理「最後、か」
菜「あれ?今回は愚痴らないの?」
理「なんだかんだで最後だしな。有終の美を飾りたいけど…」
いかんせん相手が強敵。
前回までと違い、足の速い帰宅部が理央しかいない状態なのだ。
菜「大丈夫、理央なら勝てるよ」
理「まあ、死に物狂いで頑張るか」
本当に死に物狂いで走った事があるので冗談ではないけども。

スタートラインに立つ。
独特の緊張感が増してくる。
が、それ以上にテンションが上がる。
勝ちたいという欲が不思議と出てくるのが運動会の魔力というか魅力というか。
クラウチングスタートの体勢をとり、スタートの号砲を待つ。
生徒の声が聞こえなくなり、聴覚だけが敏感になっていく。
空砲が鳴る。
自然と足が動く。
前へ。
足を爆発させるように加速させる。

菜「あっ……」
去年と同じだ。
スタートダッシュで一気に走り、そのまま逃げ切る。
理央の得意な戦法。
元陸上部も混じっているのにそれでも追いつかない。
そしてそのままゴール。
すごい。
あ、理央にタオル………あっ…。
女の子達が理央に向かっていってる。
………………。

女子達がタオルを使ってほしいとお願いしてきた。
まいったな。
こういう風にちやほやされるのは好きじゃねえんだよな。
理「ん?」
菜奈の方を見た。
…あー、またあいつあの口してやがるな。
理「…しょうがねーな」
すうっと大きく息を吸う。
理「菜奈!タオル持ってきてくれ!」

菜「えっ!?」
理央の声にびっくりする。
理「ほれ、行く前に俺のタオル渡したろ?その持ってるやつだよ!」
あっ………。
菜「うんっ」
理央の所に走っていく。
そのやり取りを見ていた理央の周りにいた女子達は悟ったらしく、全員席へ戻っていった。
菜「はい」
理「サンキュ」
私のタオルで理央は少し汗ばんだ顔を拭く。
理「菜奈、またお前唇噛んでただろ」
菜「えっ!?」
自分がさっきまでしていた行為が理央に知られた事に驚いた。
理「お前嫌な事があると決まって唇噛んで我慢してるからな」
菜「あ……理央は知ってるんだ」
理「何年お前の幼馴染やってると思ってんだ」
そっか、そうだよね。
理「そりゃまあ……その……恋人としては日は浅いけども」
理央はボリボリと頭をかく。
菜「………ふふっ、理央だって頭をかきながら言うのってちゃんと本音を言ってるもん」
理「え!?そうなのか!?」
菜「し、知らなかったの!?」/p>

後書き

理央と菜奈には細かい設定があるようにしました。
細かい設定がある方が親近感が沸くタイプですので。
ちなみに自分の癖は指や間接を鳴らす事です。片手でも鳴らせます。
鳴らさない方がいいらしいんですけどね、ついついやっちゃいます。
それでは次回にて。

今回のコラムはこちらっ