クラスの友人が聞いてきた。
『なあなあ、小泉とはどんなんだ?』
理「……というと?」
わからない質問だった。
『いやホラ、お前小泉と仲いいからさ』
理「ああ、そういう事か。いや別にただの幼馴染だけど?」
ただの幼馴染。
この一言しかない。
『ええっ、そうなのか?』
理「……その手の質問は何度も聞いたし、何度も言うけどもだ。幼馴染は幼馴染だよ」
『…そうには見えないけどな』
理「お前が同じ環境なら俺とおんなじ答えをするだろうし、おんなじ気分になると思うぞ」
『でも、意識くらいするだろ?』
理「……んー、『女子』とは思わない」
『ええっ、もったいねーな』
理「そうは言っても幼稚園からの付き合いだから『女子』っていうイメージよりかは兄弟に近いかもな」
『兄弟ねえ…』
理「お前に姉か妹でもいたら多分『女子』っていう意識はないぞ」
クラスの友人が聞いてきた。
『ねえねえ、滝沢君ってどう思うの?』
菜「……って?」
わからない質問だった。
『だってホラ、菜奈って滝沢君と仲良さそうだし』
菜「そういう事ね。別に幼馴染なだけよ」
幼馴染という一言しか答えはなかった。
『ええー、そうなの?』
菜「…もうその質問何度も聞かれたけど、幼馴染は幼馴染以外のナニモノでもないでしょ?」
『で、でも意識くらいはするでしょ?』
多分、『男子』として意識はしているのかと聞いているのだろう。
菜「んーん、『男子』とは思ってないよ」
『そんな風には見えないけどなー』
菜「あなただって私とおんなじ立場だったらおんなじ答え方をするだろうし、今の私みたいな状態になると思うわよ」
『じゃ、じゃあ『幼馴染』って言葉以外で表現するとどうなの?』
菜「それ以外……んー……兄弟…かな」
昼食。
購買所で買ったパンを取り出す。
理「さて…ん?」
食べようとすると菜奈が来る。
菜「ねえ、理央、一緒にご飯食べよ」
理「ん、いいけど」
菜「じゃ、お弁当置かしてもらうね」
理「おう」
トンとお弁当を置き、『いただきます』。
菜「ねえねえ、さっきさ、友達がね…」
理「ん…」
この光景を見ている生徒達は全員こう思っているに違いない。
『絶対、付き合ってると思うんだけどなあ…』