今度こそ答え合わせするわよ。
帰り道に理央に言った。
今度は変な事が無いように理央の家で答え合わせをする事にした。
そんなわけで理央が飲み物とお菓子を持ってくる間、理央の部屋で待つ事にした。
……ベッドに座るのは危険だからやめよう。
テーブルがある事だし、座布団を敷いて座って待つ。
ふと、ベッドの下に何かが見えた。
菜「……何かな」
ベッドの下を覗く。
暗くてよく見えないが、何かが奥にある。
手をベッドの下に入れ、腕を精一杯伸ばす。
ギリギリで届き、指で押さえつつこちらに引き寄せる。
ようやくつかめる距離まで引き寄せ、その何かを持ち、ベッドから出した。
菓子と飲み物が乗ったお盆を持ちつつ階段を上る。
まさか昨日の俺みたいに菜奈が寝てなければいいが。
……まあそんな事はないだろう。
アレが異常なだけ。
自分の部屋の戸を開ける。
理「菜奈、待たせ……」
菜奈が何かの本を読んでいた。
その本の表紙は見覚えがあった。
……それは確かベッドの下にあった……………。
理「あっ、俺のエロ本!」
菜奈は顔を真っ赤にしつつ、『むー』と言いたげな口をしていた。
菜「………どスケベ」
理「何で『スケベ』から『どスケベ』にグレードアップするんだよ」
菜「問題はそこじゃないでしょ!何だってこんな……うー」
文句を言いつつもパラパラとめくっていく。
理「じゃあ読むなよ」
菜「うるさいうるさいうるさーい!彼女がいるのに何でこんな本持ってるのよ!」
理「何だよ!じゃあ俺が『菜奈の裸見たい』って言ったら見せてくれるのかよ!」
菜「み、見せるわよそのぐらい」
理「え!?」
予想だにしない返答だった。
……本当に見せてくれるのか?
菜「ぬ、脱ぐぐらいたいした事ないんだから」
その割には緊張しているようだが。
菜「ちゃ、ちゃんと見てなさいよ」
制服のままだったのでブレザーの上着を脱ぐ。
そして次はブラウスの部分。
首の部分からボタンを外していく。
しかしというか、やはりというか、ここで止まった。
胸元のところでボタンを外す動きが完全に止まった。
菜奈は唇を噛んでいる。
本当はすごく嫌なんだろう。
何かに抵抗するように手がブラウスの襟を持つ。
おそらく無理矢理広げようとしている。
……あー、無理し過ぎだろ。
やがて菜奈の目が涙でにじんできた。
理「ストップ!俺が悪かったから無理すんな!」
脱ぎ捨てた上着をばさっと菜奈にかける。
無理してまで裸を見たくはない。
理「あーもう、嫌なら無茶すんな」
菜「………うん、ごめんね」
理「お前が謝る必要はどこもねえだろ」
菜「………ねえ、理央」
理「うん?」
菜「…見たくないって事はないんだよね?」
理「ん?そりゃまあ見たくないって言えば嘘になるしな」
見てみたいのが男だと思う。
菜「……じゃあ、はいっ」
ちらっ
理「!!!」
菜「おっ、おしまい!じゃあね!!」
トトトッと軽快に、というか大急ぎで階段を駆け下りていく音がした。
そしてその音も消えた後、机に突っ伏した。
……いくらなんでもズルイだろ!
ずっと凝視するよりも一瞬だけ見える方が記憶に残り続ける。
ほんのり熱を帯びた肌。
ほんの少しだけ見えたブラの肩紐。
当分あの光景は忘れられそうにない。
理「あー……答え合わせなんてできそうもねえな…」