菜奈の部屋で二人きり。
それはいつもの事。
時計を見ると、そろそろ時間だ。
帰る時間ではない。
行為の時間だ。
理「菜奈」
菜奈に近づき、優しく抱擁をする。
理「……いいか?」
この行動は初めてではなく、何度もしており『恒例』と化していた。
菜奈もこれに返事をするように抱きしめてくる。
そう思ったのだが。
菜奈の手はこちらの胸に合わせ、相撲の押し出しのような行動をしてきた。
理「え」
予想していない行動だった。
拒絶といってもいい行動だ。
理「えっ、だ、駄目なのか?」
菜「…………もうしたくない」
危険日だから、のような言葉を予想していたがそれでもなかった。
会っていない間に菜奈に何かが起きたのだろうか。
理「菜奈、何かあったのか?」
菜「…もうしたくないよ……」
菜奈の声が弱々しい。
今にも泣きそうだ。
一瞬、強姦の可能性を考えたがそれだったら自分と会う事すら拒絶するはず。
八つ当たりをするかのように菜奈の両手はこちらの胸元を叩いてくる。
菜「うっ……ひぐっ……えっ……ふぐっ…」
やがて我慢の限界を迎え、ぼろぼろと泣き始めた。
力任せに菜奈を抱きしめ、泣き止むのを待つ事にした。
菜奈に何があったのか自分にはわからない。
菜奈の口から聞くしかない。
少し待ち、菜奈の嗚咽は止まった。
理「…何があったんだ?」
菜「……嫌いにならない?」
理「ああ」
どんな事があっても菜奈を好きである事に変わりは無い。
菜「……一昨日ね、知美からもらったの……ビデオ」
理「……ビデオ?」
自分が想像していた展開と違っていた。
一瞬、呪いのビデオを想像したが、それはありえないと自分自身にツッコミした。
菜「そのビデオ見てたらね………すごくしたくなって見終わるまでずっと……」
菜奈の握る手がぎゅっと力を増している。
菜奈にとってこの暴露は拒絶を生んでしまう。
そう思っていたのだろう。
菜「こんな猿みたいなわたしっ…嫌いにっ…なっちゃうよね…?」
この暴露を聞いた自分は、菜奈の頭を撫で、声を発した。
理「嫌いにならねえよ」
これが自分の答えだ。
そもそも菜奈はそういう傾向なのだろうと予想はしていた。
初体験の後に風呂場でもしたし卒業式でも制服のままでした。
もしその気がないのなら拒否するはずである。
菜「ほんと…?」
菜奈は顔を上げてこちらを見る。
目を真っ赤にして涙の跡を残している菜奈の顔。
こういう顔も可愛いな。
自然と笑みがこぼれる。
理「ああ」
菜奈は再びこちらの胸元に顔をくっつけ、強く抱きしめてきた。
ようやくいつもの菜奈に戻った。
ティッシュで菜奈の涙を拭きながら、菜奈のカミングアウトの内容を思い出す。
自慰か。
誰もがする行為だが、恋人がしているというのは色々と妄想を掻き立てる。
男の自慰なんぞ一択という感じだが女性の自慰は無限のパターンを感じる。
どういう方法なのだろうか。
無意識に菜奈の胸に手を当ててしまう。
菜「え……」
ふにふにと菜奈の胸を揉む。
菜「り……りお……」
菜奈の声で我に返る。
理「あ……すまん………菜奈のアレが気になってつい…」
菜奈はうつむいてしまった。
『アレ』という大雑把な表現だったが菜奈には伝わったらしい。
菜「…………するとこ……見たい……の……?」
小さな声だが、ハッキリと聞こえた。
理「えっ……い、いい……のか…?」
菜「……うん」
自分のリクエスト内容としては変態性が極めて高いはず。
それでもしてくれるという事はそれだけ自分を信じているという事か。
心配させてしまったお詫びという意味も込めてもあるのだろう。
菜「んっ……あ……ああ……」
全裸になった菜奈はベッドに座り、自分の右手で右の胸をいやらしく揉む。
右手で左胸を揉んで彼氏に揉まれているように錯覚させている方法があるが、菜奈の場合は錯覚させる必要はいらないらしい。
胸の先端をこねる、引っ張る、押しつぶしたりと刺激という刺激を渇望している。
菜「りおぉ………見て………こんなに…なっちゃった…」
残った左手は割れ目をいじっており、こちらに割れ目を開いて見せている。
愛液でキラキラと光り、胸の愛撫の結果もこちらに出ている。
左指の人差し指と中指を揃えて割れ目の中に入れていく。
菜「びっ…ビデオの時もっ……こんな感じっ…!」
指の動きはいきなり加速し、快楽をひたすら求めていく。
菜「りっ…りおっ……りぉおぉっ…!」
絶頂が目前なのだろう。
しかし、菜奈の手をつかんで割れ目から引き抜く。
菜「え……な……なん…で……」
ジーンズを下ろし、下着も下す。
すでに自分のものは大きくなっていた。
この淫靡な光景を見ていれば嫌でもこうなる。
菜奈の腰をつかみ、自分のものをゆっくりと菜奈の割れ目の中へと入れていく。
菜「あ…あぁ……ああ〜〜〜〜っ!」
奥に入っていくほど菜奈の声が激しくなっていく。
根本まで入った時には菜奈は恍惚の表情を浮かべていた。
今ので絶頂を迎えたのだろう。
ただし、こちらは始まったばかり。
菜奈に声をかけず、出し入れを始める。
菜「ひぃっ!?ああっ!んぎぃっ!」
菜奈の身体が激しく動く。
理「なあ、一人ですんのとどっちがいい?」
二択のようだが菜奈の悦び方は一択しか無かった。
菜「りっ、りおとするほうっ!ひとりじゃすっきりしないっ!」
叫ぶように菜奈の本音が出た。
正解の褒美を与えるように一気にスピードを上げていった。
それからお互い何度か絶頂を迎えて行為は終わった。
理「スッキリしたか?」
菜奈の部屋から出て、玄関に向かいつつ菜奈に話しかける。
菜「うん……その…ごめんね…色々」
理「気にすんなって、彼女が困っていたら彼氏が助けるのは当たり前だろ」
菜「うん……ありがとう」
菜奈の顔は悩んでいた時と違って憑き物が落ちたようにスッキリしていた。
いつもの菜奈に戻って良かった。
理「またしたくなったら呼べ。いつだって満足させるから」
菜奈をぎゅっと抱きしめる。
菜「あっ……」
別れの抱擁を済ませ、自宅に帰ろうとしたのだが…。
菜「あ…あの…ね………」
理「うん?」
菜奈の様子がおかしい。
菜「その……今……したくなっちゃった」
本日、二度目のカミングアウト。
菜奈は顔を真っ赤にし、もじもじし始める。
菜「…だめ………?」
そして甘え声。
ぷちっと理性が切れた。
菜奈を速攻でお姫様抱っこし、菜奈の部屋に持ち帰った。