菜「………んー…」
さっきまでベッドで寝ていたのに何か違う。
背中にベッドの感触が無い。
正確には空間を感じる。
それと共に自分が少し斜めに立っている事がわかった。
両手、両足を動かそうとするが、手首と足首に何かが絡まって動けない。
目を開けて状況を理解しようとした。
違う。
自分の部屋じゃない。
周りはゴツゴツとした石の通路の突き当りにいた。
洞窟。
それが一番しっくりきた。
何でこんな所にいるの?
すると、通路の向こうから何かが来た。
ひと目見て絶句した。
まるで内臓が剥き出しになっているかのようなグロテスクな生き物。
私に何かしようとする。
そう理解した時、声を上げた。
菜「りっ、理央っ!助けてー!」
しかし、声は虚しく洞窟内に響くだけ。
誰もいない。
そんな絶望が全身を襲った。
その感情を生き物が読み取ったらしく、内臓の奥から何かが数本飛び出る。
触手だ。
その内の一本がパジャマの上着の中に入り込む。
菜「いっ、嫌っ!離して!」
けれど、その言葉に対してあざ笑うかのように触手は力任せに外側に振られ、一瞬でパジャマが破かれた。
菜「あ……ああ………」
優しさのかけらも感じられない行為に、絶句した。
別の触手の先端から、数本のミミズのような太さの触手がこちらの胸にまとわりつくように触れてくる。
ぬるぬるとした粘液が気持ち悪く感じる。
菜「やめっ……やめてっ…」
身をよじるが、ぴったりと躰に貼りついているので抵抗の意味は無かった。
細い触手が胸の先端をくにくにといじってくる。
菜「やあっ………いじらないでっ…」
やがて、その蹂躙に諦めたかのように先端が固くなってきた。
何で。
嫌なのに。
熱い。
躰が熱い。
菜「違うっ……ちがうのっ…!」
言葉に出さなければ何かが終わってしまう気がした。
無理矢理犯されて感じるなんてありえない。
躰の異変を察した生き物が、次の手段に移行した。
足の枷のようなものが勝手に動き出した。
改めて足の方を見ると、枷ではなく触手が巻き付いていたものだった。
菜「なっ、何っ!?」
両足が持ち上がり、一気に開脚させられた。
一瞬で悟った。
菜「やっ、やめてっ!それだけはやめて!」
別の触手が残ったパジャマの下半身に触手が入り込む。
菜「ひっ……」
先程の上半身に起こった恐怖が全身に伝わる。
菜「いやああぁーっ!」
ありったけの声で叫んだ。
それに合わせるようにパジャマと下着が引き裂かれた。
何も、無い。
全部、無い。
涙がぼろぼろとこぼれる。
菜「おねがい………うちにかえして…」
生き物に言っているのか、それても自分に言っているのかもわからない。
ただ、そう言いたい。
生き物は、新たに触手を生み出す。
大きい。
その触手の使い道は無意識のうちにわかってしまった。
菜「い……や……」
拒んでも無意味。
それでも声に出したかった。
触手が割れ目に当たる。
菜「……ごめんなさ…い……」
誰に言ったのだろう。
もう、わからない。
菜「うー……はぁ………り…お……たす…けて……」
アイスを食べながら菜奈の寝顔を見る。
何か夢でも見ているのだろう。
寝言から推理すると悪夢のようだ。
ただ、その割には妙に熱っぽい声。
………まあ『助けて』って言ってるし、起こすか。
ぷにぷにと頬をつつく。
理「おーい、菜奈、起きろよ」
ぷにぷにぷにぷにと連続でつつく。
菜「う………う…………はっ!?」
目が覚めた瞬間にバッと起き上がる。
理「ん、起きたか」
菜「はあ……はあ……すー……はー…」
呼吸を整え、辺りを見回す。
残ったアイスを食べつつ菜奈を観察する。
予想通り、菜奈は悪夢を見ていたようだ。
菜「……理央………いつからここに?」
理「んー…そうだな。10分くらい前だな」
そう言った瞬間、顔面に枕ミサイル炸裂。
理「何でだ!?」
理「もっと早く起こしなさいよバカーっ!」