誘惑の唇

バレンタインデー。
去年はちょうど付き合い始めた日だったが、今年は違う。
純粋に『好き』という意味を込めてチョコをくれる日になっている。
学校から帰り、菜奈が『チョコを渡したいから家に来て』と言っていたので従った。

菜「はい、バレンタインのチョコ」
菜奈からもらったのはチョコが入っているであろう紙袋。
しかし、紙袋の大きさが小さい。
去年もらったやつはもうちょい大きかった。
これだと『小物』になってしまう。
理「とりあえず中見ていいか?何入ってっか気になるからな」
菜「うん、いいよ」
袋を開けて、中身を取り出す。
すると、出てきたのは……。
チョコの口紅。
理「いや俺ソッチの気はないんだけど。ていうか何で口紅なんだ?」
ソッチの気がなくともちょっと量が少ない。
菜「これね、私が塗るの」
理「ん?」
俺宛てのチョコなのに菜奈が塗る?
意味がよくわからない。
菜奈は俺が持ってるチョコ口紅を取る。
そして、その口紅を自分の唇に塗る。
確かにチョコらしく、菜奈の唇がチョコレートの色に染まっていく。
理「おー、こんな風になるんだ」
菜「うん、準備オッケー」
理「…準備?」
菜「……理央……た、べ、て♪」
菜奈は目をつぶってキス待ちの状態になった。
…………このチョコ口紅作ったメーカーと考えた企画の人に感謝!
人間ってすごいの考えるなー。
よし、いただきま…………
………………。
ゴソゴソ。
ピローン。
その音に菜奈はギョッとした。
菜「いっ、今の音何したの!?」
理「ありがたく写メ撮らせていただきました」
菜「だっ、ダメーっ!消して!消して!」
理「大丈夫だって、誰にも見せねえから」
菜「絶対見せちゃダメだからね!」
理「大丈夫。待ち受けにするだけだ」
菜「それはダメーっ!」
菜奈の説得も虚しく、理央のケータイの待ち受け画面になりました。

後書き

実際にこういう口紅タイプのやつがあるそうです。
実際に買ってこういうのを実践した人はどれだけいるのやら(笑)。
次回にて高校編は最後になります。
それでは次回にて。

今回のコラムはこちらっ