四ノ宮

妙な振動で目が覚める。
地面が固い。
雪の上で寝たはずなのに。
ゆっくりと目を開ける。
黒い床。
×の形をしている突起物が規則正しく並んでいる金属の板。
少し先の方に視線を向ける。
外が見える。
……何かの乗り物に乗っているのか?
最初は聞こえなかったが、やがて爆音が聞こえるようになってきた。
そして、見ている視界が下へと沈んでいく。
飛んでいる。
ヘリコプターか。
外を見ていると、自分が少し前までいたあの建物の全体が見える。
建物は森に囲まれており、地上からではわからなさそうな場所にあった。
『…樹氷の…森』
不意に、言葉が漏れた。
理由はわからない。
ただ、その言葉を口にしたかった。