月下の夜想曲

闇に包まれている森の中、月が唯一、明るさを出していた。
月下の下、潤は蹴られていた。
ドゴオッ
潤「ぐっ…あっ…」
腹部を蹴られた。
腹に穴があいたような感じだ。
何度蹴られたのか。
わからない。
記憶がはっきりしない。
『なんや、このぐらいで終わる思たか』
茜の声が聞こえる。
茜「そう簡単に殺したらおもろくもない」
顔面を蹴られた。
口の中が血でいっぱいになってくる。
体中が痛みで動かない。
茜「…蹴るのも飽きたな」
キンッと金属音と共に、取り出したバタフライナイフの刃の部分が出る。
茜「『人間サッカー』にも飽きたし、もうええわ。もう死ねや」
その瞬間、茜がナイフの方に意識していているのを見逃さなかった。
潤はうつぶせの状態から足払いを放つ。
茜の足を刈り、茜は地面に倒れる。
その場にあった大き目の石をつかみ、それを茜の頭部へ。
潤「死ねえっ!!」
ガツッ…
茜は痛がる動きをしなかった。
先程転んだ時に頭を強く打ったのだろう。
潤「死ね、死ね、死ねっ!!」
ガツッ、ゴンッ、ゴッ…

何回殴ったのだろう。
わからない。
茜の顔はもう茜ではなかった。
……助かった。
痛みをこらえて立ち上がる。
…足りない。
物足りない。
もっと、もっと殺したい。
この森には人は自分しかいない。
町に出よう。
それからだ。

しばらく森の中を歩くと、遠くに明かりが見えた。
町の明かりだ。
良かった。
これで殺せる。
気が緩んだのか、蹴られた痛みが襲った。
潤「うっ…」
痛みで足元がふらつく。
直後、足が滑った。
その滑りは止められなかった。
場所が悪かった。
滑った先は、崖。
そのまま落ちた。
下は遥か先に石の海が見えた。
助からない。
闇に染まっている空の中、月が輝いて見えた。
綺麗だった。
地面が迫ってきている。
もうじき、この体は砕け散るのだろう。
死にたくない。
なぜ、死ななければならない。
まだ、殺したいのに。
どうして、死ななけ