メガロマニアック

眞「死ねえっ!」
ぶんっ、と眞一郎が斧を振る。
臣「くっ!」
臣はその場から飛ぶように逃げる。
臣のいた所にあった木箱は臣の身代わりになるかのように斧によって粉砕される。
分が悪い。
こっちは鎌で向こうは斧。
扱いやすさも殺傷能力も向こうの方がかなり高い。
それに鎌は斬るものではあるが刀等とは違う。
圧倒的不利。
あの斧をなんとかしなければならない。
眞「ったく、ちょこまか逃げやがって…」
斧を振り上げる。
眞「とっとと死ねよっ!!」
臣に向かって振り下ろした。
今しかない。
臣は眞一郎の方に向かって飛び込む。
斧は刀と違って先端部分にしか刃が無い。
その刃の部分よりも中に入ればただの棒に過ぎない。
鎌を眞一郎の腹部に突き刺す。
眞「ぐっ…おお――っ!!」
だが、眞一郎はそのまま斧を振り下ろした。
ゴッ
刃のない部分が臣の首に当たった。
その衝撃によって臣は地面に叩きつけられた。
眞一郎は斧を投げ捨てる。
臣の身体の上に眞一郎が馬乗りになり、臣の首を絞める。
臣「ぐ…か…っ…」
臣の手は眞一郎の腕をつかんでいた。
離せ。
臣の口が大きく開く。
酸素が足りない。
もっと酸素を。
身体がその欲求に応じていた。
だが、その欲求は眞一郎によって止められていた。
ミシ
骨の音がした。
ゴキン
音の直後、何かが外れる音がした。
音が鳴るまで、強い力でつかんでいた臣の手がすっと落ちた。
臣の首は普通の首ではなくなっていた。
首が通常の曲がりよりも深く、直角に近い形に曲がっていた。
眞「返事しろよ…臣…」
投げ捨てた斧を拾った。
眞「なんか言えよ…」
斧を振り下ろした。
ドンッという音と供に、臣の左膝から下が、臣の身体から離れた。
眞「言えってんだよ!!」
ドンッ
右手
ドンッ
左足首
ドンッ
左肘
ドンッ

ドンッ
右肩
ドンッ
左腿
ドンッ
顔面

何回振り下ろしたのだろう。
数えるのが面倒になってきた。
目の前は赤かった。
血、内臓、肉、そしてぽたり、ぽたりとしたたり落ちている自分の血。
部屋は紅く染まっていた。
足元を見る。
肉の塊…いや、肉片は元がどの位置にあったのかも判らないほど散乱していた。
眞「うっ……」
腹部の痛みが襲った。
だが、こらえる。
ここで死ぬわけにはいかない。
もっと殺したい。
こんな楽しい事、誰がやめれる。
痛みが足が重く感じる。
足をひきずるようにして部屋を出た。
誰かがいた。
誰かが気付く。
『あ、こんなところにいたのか』
『ちょうど弱ってるみたいだな。無駄玉を使わずに済んだよ』
誰かが銃を構える。
弾丸が放たれた。
弾丸がスロー再生のように見えた。
弾丸は少しずつ、少しずつ大きく見えてくる。
そして弾丸の大きさは自分の視界のほとんどを覆った。
その直後、視界は闇に包まれた。