チャイルドパニック 前編

涼「……ん、なんだこりゃ?」
綾の実家の押入を整理していると小さな木箱があった。
綾「どうかしましたか?」
涼「ああ、こんなのが出てきた」
綾「何が入っているんでしょうね?」
箱を開けると、指輪がひとつ。
涼「指輪、か」
綾「お母さんのでしょうか?」
涼「でも、母さんのだったらこんな押入には入れないと思うから、おじいさんのだと思うけど…………」
ここは母さんとおじいさんも呼ぶとしますか。

信「ふむ………指輪か」
涼「知ってます?この指輪に関して」
信「いや………これはわしが買ったものでもないし、見覚えがないの」
涼「母さんは?」
綾の母「いえ、これは私のではないし、良明さんのでもないわ」
涼「となると………先祖のか」
指輪をじっと見ると、かなり綺麗だ。
涼「綾、はめてみたら?」
綾「いいんですか?」
涼「まあ、これは藤原家代々のものだから、綾がつけても文句はないと思うけど………おじいさんと母さんは?」
信「ふむ……まあ別にいいが」
綾の母「ええ、私も」
涼「じゃあ早速、綾、つけて」
綾「わかりました」
綾が指輪をはめた。
涼「サイズは?」
綾「ちょうどいいです」

その直後、ぼわんと煙が指輪から出てきた。
涼「な、何だ!?」
その煙は綾を包むように広がった。
そして数秒後、煙は消えた。

涼「…………どうします?」
信「まさかこうなるとはの……」
綾の母「色んな意味で困りましたね」
綾を除いて3人は悩んだ。
で、肝心の綾はと言うと、
綾「………りょうさん」
小さくなってた。
身長が、ではなく、肉体そのものが幼くなっていた。
ざっと見て、7、8歳ぐらいだろう。
涼「まあ、原因は一目瞭然で、指輪でしょう」
他の2人がうなづく。
涼「と言う事は、指輪をもっぺんつければ……」
変化なし。
涼「…………だめか」
綾の母「よく、呪いって時間が経つと自然に消えるのもあるわね」
涼「…………すでに2時間経過ですよ」
1ミリも大きくなっていない。
信「うーむ…………呪いと言うと、御払いをすれば治るというのもあるが…」
涼「清め塩をかけましたが、変化なしです」
結局の綾の呪いは解けず。
涼「……まあ、綾は綾ですし、別に記憶まで当時に戻ったわけじゃありませんから、とりあえず、俺の嫁さんですから、俺のところで保護するってことで」
信・綾の母「待った」
涼「何です?2人して」
綾の母「確かに、あなたのお嫁さんですけども、ヤッてはだめよ」
涼「…………何故」
信「そんな状態でしてみい。間違いなく翌日にはお前の手首には手錠がつけられる」
涼「そんな、俺の嫁さんですよ!?」
信「法律では女性は16歳以上ではないと結婚できないが?」
涼「………そうか………………ってちょっと待ってください。結婚はできなくてもヤれる事はヤれるでしょ?」
信・綾の母「ヤッたら間違いなくこの世の終わりを見る」
涼「……………………はい」

涼「…………あ、そういえば…まだ呪いを解く方法が1つだけあった」
綾「何かありました?」
涼「白雪姫で、白雪姫が毒リンゴを食べて眠ってしまうけども、王子様がキスをすると目覚めるってやつだ」
綾「それをするんですか?」
涼「ああ、とにかく色々試すしかない」
じゃ、早速。
ちゅっ。
…………………………変化なしか。
……………………………………………俺は変化ありだが。
………………ムラムラしてきた。
……あー、くそっ、ヤれないってのは不便だな。
もしヤッたら俺はおじいさんと母さんに殺されるし。
……あーあ、早く綾の呪い解けないかなあ…………。

後書き

久々ですね、前中後編は。
最近は1話完結というのが非常に多かったですから。
さて、今回は綾が子供になると言うお話ですが、今までにないパターンですね。
さて、綾母がヤるなと言っていますが…………ふふ(不敵な笑み)。
え?ということは……………というわけで中編に続きます。
それでは次回にて。