彼女のいない日々 前編

涼「えーっ!?単身赴任!?」
澪「ええ、少しの間だけど、支社で勤めてもらうわ」
涼「少し…というと?」
一瞬、10年という怖い言葉が浮かんだ。
澪「一ヶ月ね」
涼「…ほっ」
澪「そんなに長くはないわよ。それに一度古巣を離れると違うものが見えるわよ」
涼「違うもの…それはどんなものですか?」
澪「うーん、それは人それぞれね。あなたにも見えるものがあるわよ」
涼「見えるもの、ですか…」
一番最初に浮かんだビジョンは半べそをかいている綾だった。

そして帰宅。
…言わねばならないが、非常に言いづらい。
まあ、一ヶ月だけだし。
……よく考えてみれば一週間でエライ状態(KISS −14th−参照)だったからな。
うーん…。
でも言うしかないんだよなあ…。

涼「あのさ、綾」
綾「はい」
涼「実はさ、今度…単身赴任することになったんだ」
綾「単身赴任…ですか…」
綾のトーンが下がった。
ほれみろ、澪主任。
涼「あ、でも一ヶ月だけだから」
綾「ほっ…」
俺と同じリアクション。
涼「…我慢、できる?」
ある意味これは試練なのかもしれない。
…試練は大袈裟か。
綾「…はいっ。頑張ってみます」
綾は決心したようだ。
涼「向こうから電話とかするからさ、泣いちゃだめだよ」
綾「…私は子供ではありませんよ」
…ごめん、俺が親バカならぬダンナバカ状態でした。

そして単身赴任開始。
とりあえず会社から最寄のアパートを借りる。
レオ○レスを利用するほどでもないし。
会社の人達は素朴で温かかった。
いい人そうだ。
ま、仕事面での苦労はなさそうだ。

涼「…あ」
会社から帰ってきて、部屋に戻っての一言がこれだった。
御飯。
そうか、綾がいないからな。
とりあえず自炊だな。
コンビニで買えばいいが、それだと栄養は偏るし、出費もかなり痛い。
確かスーパーがあったな。

とりあえず野菜炒めと刺身と漬物。
本当は焼き魚でも食べようと思ったが焼き魚用のコンロがないので我慢することにした。
…一人でもぐもぐ食べるのは寂しいな。
…うーん、わずか一日でヘコんでいる自分がいる。
まだ29日もあるというのに。
果たして残り29日持つのだろうか…。

後書き

後書き
というわけで続きモノです。
冬の時にまとめて掲載しようと考えていましたが、前編だけ見せてもやもやしてもらうという結論になりました(笑)。
…まあ、もやもやしてくれる人はいないと思いますが(泣)。
とにかく冬の時まで完成させないといけませんね。
それでは次回にて。