かわいい拷問


涼「うーん…………」
考え込む俺に、綾が気付いた。
綾「どうかしましたか?」
涼「いや、実はさ…その…………」
綾「…………?」
辺りを確認して、綾に耳打ちする。
涼「夜のお勤め、やめようか?」
途端に綾の顔が真っ赤になる。
綾「えっ、なっ、どういうことです!?」
さすがに綾も同様は隠せないようだった。
涼「いやなに、なんとなくだけどマンネリになりそうな感じがしてきたんだ」
綾「それで、その………やめるんですか?」
いかんせん言うのは恥ずかしいようだ。
涼「と、いうわけでね。綾も協力頼むよ」
綾「はい、わかりました」
しかし、その協力というのは後に俺にとってイジメになることに俺はまだ知らなかった。




禁欲1日目。
まあ、1日目だしな、我慢できたさ。




禁欲2日目。
ここから綾流のイジメが始まった。
涼「なあ、綾」
綾「はい、なんでしょう」
涼「どうして、晩飯がこう………」
献立を見てみると、
ガーリックライス、山芋と鮪の和え物。
ニンニクといい、山芋といい、えらく精力つきそうなシロモノなんですけど。
綾「気のせいですよ」
気のせい、なのだろうか…………。




禁欲3日目。
晩飯の献立。
にんにくの醤油漬け、河豚の白子焼きに白子酒。
絶対に気のせいじゃないような気がする。




禁欲4日目。
涼「うー、のど乾いたな……」
冷蔵庫を開け、適当な瓶のドリンクがあったので、早速飲んだ。
一気飲みしたあと、妙な味がした。
涼「なんだ、これ…?」
ラベルを見た。
『赤マムシ』
涼「ぶっ!!」
昨日まで、こんなもんなかったぞ。
まさか、綾の仕業か……?
まさか、というよりも間違いないな。



禁欲5日目。
…………ヤバイ。
かなり溜まっているのがわかる。
いかんせんこの数日、綾のイジメでかなり精力が高い。
なんとか、晩飯だけは…。
涼「なあ、今日の晩御飯、鍋物がいいんだけど」
綾「あ、いいですよ」
よーし、これでにんにくと山芋と白子の凶悪連続技が回避できた。



そして、晩御飯だ。
トン、と鍋を置く。
綾「今日は、涼さんのリクエスト通りですよ」
あー、これで精力増進攻撃は回避できたな。
パカッとふたを開ける。
そこには…………。
綾「今日は、スッポン鍋ですよ」
……………………………そーくるか。



禁欲6日目。
ぐう…………。
まさかこんなにも執拗とは……。
とっとと寝よう。
そう思った時、トントンと戸を叩く音がした。
綾「私ですけど…」
涼「どうした?」
綾「その………添い寝しても、いいですか……」
……………………………………。
もう、勘弁してください……。




禁欲7日目。
鬼や〜。
これじゃ蛇の生殺し………ん?
まてよ、ということは…。
この1週間、綾もしてないわけだし、食事も同じだし、前日のも、ということだよな……。
ということは、綾も俺と同じような状況か………?
………ありえるな。
よし、もし来たら…………………カマかけてみるか。
ようやく反撃となりそうだな。



だが、綾からの攻撃は俺には予想できないものだった。
晩御飯を終えた後(なお、献立は2日目と同じ)、居間でくつろいでいた。
おそらく、綾は攻撃をしてくる。
そのときに勝負だ(何の勝負になったんだろう)。


案の定、早速綾が座っている俺に抱きついてきた。
早速きたな。
だが、次の瞬間、
綾「ねぇ…あなた………」
非常に色っぽい声できた。
……そうくるか。
ぷちっ。
俺の中で何かが切れた。
涼「綾、ちょっと、手どけて」
綾「あ、はい」
綾が手を肩から外した瞬間、瞬時にくるっと体を反転させ、綾の顔に近づく。
綾「えっ…………」
俺の行動が予測できなかったか、かなり真っ赤になっていた。
涼「綾………」
綾「は、はい……………」
涼「解除」
綾「え?」
言ったが早いか、一気に綾を押し倒す。
綾「きゃっ!」
そして、マウントポジションのような格好になった。
涼「ふっふっふ、よくもこの1週間、好きなことをやってくれたね」
綾「あ………………」
涼「精のつく料理ならまだしも、添い寝してくれとか、さっきのように色気で攻めるとは、さすがの俺も恐れ入ったよ」
綾「それは……涼さんが協力してって……」
涼「俺は色仕掛けをしてくれと言ったわけではないんだが」
綾「うっ………」
綾の頬をそっと撫でる。
涼「あ〜や〜」
耳元に近付き、
涼「腰の骨が砕ける音、聞かせてやるよ」




そんなこんなで、俺の禁欲はものの1週間にて終了した。

後書き
番外編第2弾です。
さて、どんなもんだったでしょうか。
今までのが涼×綾でしたが、今回は綾×涼という異例の組み合わせになりました。
綾のいじめ方がかわいいなあ、と思えれば幸いです。
最後の涼のセリフである『腰の骨が砕ける音、聞かせてやる』は言ってみたかったしろものです。
『あんたが言うとすごい下品に聞こえるな』って? そうかい?そりゃ誉め言葉だね(笑)。
ちなみに、この後の話もあるのですが、これは………19禁の可能性があります。
続き書いて、というメールもしくは掲示板にカキコしてあったらやろうと思います。
では次回にて。