KISS -1st-

涼「ねえ、綾」
綾「はい?」
涼「お願いがあるんだけど」
綾「お願い、ですか?」
涼「いやなに、買ってもいいかっていう許可なんだけど」
綾「何が買いたいんですか?」
涼「うん、ベッドなんだ」
綾「ベッド、ですか?」
涼「………だめ?」
綾「いえ、だめではないですけど……どうしてですか?」
布団があるのに?と思っているのだろう。
涼「……言っていい?」
綾「?……いいですけど…」
涼「一緒に寝たい」
綾「………………ええっ!?」
言葉をようやく理解し、真っ赤になる綾。
綾「ど、どうしてですか!??」
………多分、布団でもできるだろうし、布団でもやれるのにもかかわらずどうしてベッドを買いたいのか、という意味合いのどうして、だろう。
涼「んー、布団でもできるけどさ、結構狭いからはみ出るし、ベッドならある程度広いから問題ないんだ」
綾「だから…ですか?」
涼「そう。それにダブルベッドだから綾がどう抵抗しても一緒に寝れるって寸法なんだ」
それを聞いた綾は嬉しいやら困ったやら恥ずかしいやらという微妙な表情だった。
そして俺は追い討ちをかけるが如く、綾に耳打ちした。
涼「……ベッドっていうのは結構揺れるから、布団の時よりも気持ちいいと思うよ」
先程まで微妙な表情をしていた綾は真っ赤になってうつむくという行動に固まった。

注文してから数日後、ベッドが届いた。
ベッドを寝室に置き、設置完了。

幅を確かめると、うまい具合に2人ちょうど入る具合である。
……そりゃまあ、ダブルベッドだから2人入んなきゃどうしようもないのだが。

で、夜。
待ちに待った夜だ。
涼「あ〜や〜、一緒に寝よっ」
綾「え…あ、はい……」
………なんだ。
最初はなんか嫌そうだったけど、すごい嬉しそうだな。
……ま、結局のところ、綾も結構好きなんだな、そういうの。

寝室に行くと、すでに綾はベッドに入っていた。
入ってはいるものの、まだ寝てはいなかった。
今まで布団だったため、ベッドに慣れていないのだろう。
涼「それじゃ、失礼」
綾「ど…どうぞ………」
ベッドに入る。
布団とは違う、ふかふかした柔らかい感触だった。
ベッドを買って正解だったような気がする。
涼「どう、感想は?」
綾「ええ、気持ちいいです」
涼「それなら良かった。寝づらいなんて言われたらどうしようと思っていたから」
綾「そんな事ありませんよ、それに…………」
涼「それに?」
綾「………涼さんが買ってくれるんですから…………気持ち良くないはずがないじゃないですか………」
………じ〜んときたなあ……。
そういう事言われると嬉しいよ、ほんと…。
きゅっと綾を抱く。
綾「あっ………………」
涼「本当の事を言うとね、ベッドを買った理由はもうふたつあるんだ」
綾「えっ?」
涼「ひとつはこうやって綾を抱ける事。それに………」
綾「…………」
綾の顔を優しく見る。
涼「じっくりと、綾のかわいい顔が見れるってこと……」
綾「涼さん………」
綾の頭を優しくなで、その手を髪にまわし、サラサラとした綺麗な髪を優しく触る。
涼「…………このまま、寝れる?」
綾「え、ええ……」
涼「このままでいたい…」
綾「……わ…私も………このままの方が寝れると思います……」
涼「………おやすみ、綾」
そっと口を重ねた。

後書き

タイトルの1stとあるように、この通称涼と綾のらぶらぶ話をシリーズ化しようと思います。
無論、内容はキスに関してで。
ただ、2ndまでしかネタができてないので、3rdはいつになるかわかりません。
4thぐらいまではやりたいなあと思いますけど…。
それでは次回にて。