ね・え

綾の母「あの、母の日の事なんだけど……」
涼「あ、もうすぐ母の日ですか」
綾「お母さんは、何がいいですか?」
綾の母「ええ、それの事だけど……」
………何で俺の方を見るんですか。
綾の母「……その………綾にはものすごく悪いんだけど…」
信「なんじゃ?まあ母の日だから多少は許せるが…」
綾「ええ、別に構いませんよ」
綾の母「それじゃあ………………1日だけ涼君の奥さんになっていい?」

涼「…………はい?」
どういう事でしょうか?
俺の奥さんになりたいって。
…………………………って、ええ!?
綾「……………………え――――っ!」
綾も理解できたようだ。
涼「一体どういう事です!?」
綾の母「それは……その……」
信「…………………まあ、わしは何も言わんが…」
綾「………1日だけ………いいですよ……」
おいおい、綾も了承か。
涼「いいですけど………制限付き。これならいいですが」
綾の母「制限?」
涼「口にキス以上の行為はなし。これなら問題ない…と思います」
これなら綾に反感を買われる事もないだろう。
涼「それなら綾も怒らないだろ?」
綾「……………ええ。いいですよ」
さて、決まったけど…………………母さんも甘えたいのかな……。

そして当日である、母の日がやってきた。
涼「さて………と。まあ約束ですから母さんが今日だけ俺の奥さんって事で」
綾の母「あら、もう母さんじゃないわよ」
涼「…まあ、確かに。じゃあ、何て呼べばいいんですか?」
綾の母「そうねえ……じゃあ、幸枝って」
涼「呼び捨てですか!?」
綾の母「あら、あなたの奥さんなんだからいいじゃない」
…それもそうですが。
綾の母「あ、それと……丁寧語じゃなくてもいいわよ」
と、おっしゃいますと?
綾の母「『なあ、幸枝』みたいなのがいいな」
涼「……わかりました。母さん」
綾の母「こら、幸枝でしょ。それと丁寧語はなし」
涼「………わかった……ゆ…幸枝」
綾の母「はい、あなた」
………朝っぱらから疲れるな。

もぐもぐと朝食を食べる。
そして母さ…もとい幸枝の作った味噌汁を一口。
幸「ふふ、あなた、おいしい?」
涼「ぶっ」
口に残った味噌汁を吹く。
あ、あなたって……。
涼「いくらなんでもあなたは勘弁してください。慣れません」
幸「こ・ら」
あ……丁寧語禁止だったな。
涼「いくらなんでも、あなたはないだろ」
幸「あら、だって夫婦じゃないですか」
だってさあ……綾にもあなたって言ってと言ったけども、あんまりしっくりこなかったから元に戻したんだよな。
涼「……せめて、涼君で」
幸「あら、それじゃよそよそしいわ」
……まあ、それもそうだけど。
涼「じゃあ、あなた以外を頼む」
幸「そうねえ………」
幸枝はしばらく考えて、
幸「旦那様は?」
がくっ
涼「そ、それは勘弁」
幸「じゃあ、ご主人様」
涼「…………………あなたでいいよ」
幸「はい、あなた♪」
……………………はあ。

日曜日、ということで仕事もないので………母さんと一緒の状態なわけで。
仕事があればいくぶん母さんに会わないで済むのだが。
………いや、母さんの事だから会社に来そうだな。
そんでもって不倫だのなんだので弾劾を受けるハメに陥るわけで。
……………日曜日で良かったかもしれん………。

ぽふっ
………まあ慣れてしまえばなんともないわけで。
要するに一線超えなきゃ大丈夫なんだよ。
というわけで耳掃除をしてもらっている。
上のぽふっは母さんの膝枕に乗っかった音。
…………こうしてみると綾のほどよい肉質もいいが母さんのふわりとした感覚も心地がいいな……。
ぎゅうっ
涼「いててっ!耳引っ張らないで!」
母さんエスパーですか!?

そして夕食。
幸「うふふ……おいしい?」
涼「ああ、うまいな」
綾の料理といい勝負だ。
まあ綾は母さんから教わったんだからまあ母さんは師匠みたいなものか。
幸「綾のとどっちがおいしい?」
涼「そっ、それは……………」
幸「あら、私の方がおいしいわよね」
…………綾の方がおいしいと言わないと後々問題になる。
だが、この状況は切りぬけられない。
涼「………うーん、引き分け、かな?」
すると母さん、ぷうっとふくれっ面をした。
…………そういう顔をしないでください。
余計にかわいいじゃないですか。

さて………と、時間は夜。
そろそろ寝る時間だが………。
幸「ねえ、あなた」
涼「うん?」
幸「一緒にお風呂、入りません?」
涼「ああ」
…………………………………………ちょっと待て!?
涼「ちょっと待て幸枝」
幸「あら、男に二言はありませんよ」
涼「う……」
何の考えもなしに口走った俺の負け。
だが、俺も負けっぱなしではない。
涼「ちゃんとバスタオルをつけるんだぞ」
幸「はい」
あれ?あっさりとした返事。
……………何かありそうだ。

ちゃぷーん……
あー……今日は疲れた。
…いや………この後も疲れるのか……。
カラカラと戸が開く。
反射的に戸の方を向いた。
すると母さんがいた。
ちゃんとバスタオルをつけて。
ふー、一安心。
この時に何もつけてなかったらどうなってたのやら。
涼「一緒に入る?」
幸「はい」
母さんが浴槽に入る。
下手に見ているとバスタオルの下が見えそうなのでよその方を向いていることにした。
ちらりと母さんの方を見る。
すでに入っていた。
涼「ほっ…」
幸「……」
母さんがむっとした顔をした。
幸「私ってそんなに魅力ないの?」
そういう作戦できましたか。
涼「そ、そんなことはない」
幸「じゃあ、どうして私が入る時にそっぽを向いたの?」
涼「そ、それは……」
嫌な予感がする。
それもかなりの。
直後、母さんが立ち上がる。
俺の方を向いて。
涼「ちょっ、ちょっと母さん何してんですか!?」
さすがにこの時ばかりは母さんとの契約を無視する。
幸「私だってそれなりに自信があるんですよ」
予感が的中した。
見せる気だ。
涼「わかった!ちゃんとわかっ…」
時すでに遅し。
俺が止めようとした時、バスタオルははらりと落ちる。
瞬時にばっと手で目を覆う。
……………すんません、隙間作ってました。
これも男の性って事です。
………あれ?
素っ裸じゃない。
バスタオルの下に………水着だ。
……………だまされた?俺。
幸「ふふ、こうなる事はわかってました」
………完全に一本取られた。
涼「はあ……」
深く溜息をついた。
幸「それとも……水着がなかった方が良かったですか?」
涼「そっ、それは……」

そして就寝の時間。
………母さんの事だ、きっと最後に何かやってくる。
とっとと寝てしまおう。
そうすれば終わりだ。
涼「………」
……今日に限って眠れない。
そうこうしているうちに母さんが来た。
とりあえずパジャマだった。
良かった…………ネグリジェとか来たらどうしようかと思ったよ。
幸「あら、そっちの方が良かったですか?」
涼「……………声、出てた?」
幸「はい、はっきりと」
涼「………」
母さんが俺の横に入ってくる。
う………すごい色っぽい。
今まで綾にいろんな羞恥行為をしてきたが、綾の立場になるとこういう気分になんのか。
……まあ…悪くはないけども。
幸「……あとちょっとで終わりですね」
涼「ああ……あと2時間程度でね」
幸「……ありがとう」
涼「え?」
幸「今日1日だけだったけど…楽しかったわ」
涼「それは良かった……母さ…」
いや、やめておこう。
夫の死を思い出させるのは。
涼「でも、まだ2時間ありますよ」
幸「え?」
だったら、俺はあくまでもこの人の旦那だ。
少しでも、妻のためになる事をする。
あと2時間だけの、夫として。
……まあ、これまでの仕返しも兼ねて。
きゅっと母さんを抱く。
幸「あ……」
母さんが真っ赤になる。
じっと母さんを見る。
………よく考えれば、綾の母さんなんだよな。
似ているよな……ほんと。
こういう真っ赤になるところがそっくりだ。
頭を優しく撫でる。
さらに真っ赤になる。
さすがにこういうのは慣れていないようで、さらに真っ赤になる。
あまりの恥ずかしさに、ぽふ、と俺の胸の辺りに顔をうずめた。
……かわいいからもうちょっと見たい。
わざと、顔が見えるようにひょいと動かす。
幸「……」
あまりの恥ずかしさに言葉も出ないようで。
耳の先まで真っ赤になっている。
さてと、トドメをさしますか。
涼「おやすみ、幸枝」
そっとおでこにキスをした。
………完全にノックアウトしたようで。

後書き

母の日、ということで綾母ネタを書きました。
今までの涼×綾母ネタとしては一番濃いネタでしょう。
まあこれ以降は完全にヤると思います。
さてさて、あんまり涼×綾母に関してのコメントが一切来ないので好きなように書いていますが(笑)、『これ以上書くなバカタレ』とかのコメントでもください。
でないと止まりませんから(笑)。
それでは次回にて。