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涼「ただいまー」
仕事が終わり、自宅(正確にはおじいさんが建てた家だが)に帰る。
だが、いつも返事が来るはずの『あの人』の声がこない。
涼「綾――?」
部屋を探してみたが、綾の姿はなかった。
……………綾がいない?



俺はすぐさまこの事をおじいさんに報告した。
涼「………という事なんですが」
信「……ふーむ、そういえば、先程綾が旅行のバッグを持って出ていったが……」
涼「旅行バッグ?」
信「つまり、家出ということになるの」
俺は一瞬おじいさんの言った言葉ができなかった。
そして言葉を理解した瞬間。
涼「え――――っっ!!綾さんが家出??!」
信「しっ!声が大きい!」
涼「あっ、ごめんなさい。でも、なんで綾さんが家出するんですか?俺は二度も綾さんに手を出した事はありませんよ?」
一度はあった。
あの埋蔵金の時だ。
俺はもう綾に手を出したくない…………。
信「………もしや…あの事か……?」
涼「えっ、あの事って?」
信「うむ、実は…………………」



涼「…そんな事があったんですか…………」
けど俺の中では腑に落ちなかった。
そんな事で綾が家出するとは思えない。
となると、その時に何かが起きたはずだ。
涼「おじいさん、その時に気づいた事ってありますか?」
信「うーむ…………そういえば、わしが何か言ったら急に立ち上がって行ってしまったが……………………もしかするとそれかもしれんな」
涼「何かって、何を言ったんですか?」
信「いや、それが何かすっかり忘れてしまったな」
………ということは、おじいさんが何かを言って、それを聞いた綾は逆上?して出ていったということになるけど…………一体何を聞いたんだろう?
涼「後は…………行き先ですね」
信「置き手紙は特になかったのか?」
涼「いえ、ありませんでした」
信「となると、部屋を調べて行き先を調べるしかないの」
涼「それしかないですね」



まずは綾の部屋を調べるか。
良心が痛むが仕方があるまい。
机の上を調べてみたが書置きはやはりなかった。
次はタンスを調べた。
罪悪感を感じるがこの際しょうがない。
棚を次々と開けると、いくつか見当たらない服があった。
綾自身が気に入っていた服や、俺が『かわいいよ』って言って恥ずかしながら嬉しがっていた服もだ。
ということは、1泊や2泊どころではないということか。
次に本棚を調べるか。
所々に本と本の間に隙間がある。
おそらく、そこに本があった証拠だろう。
きっと綾が持っていったのだろう。
左右隣の本から何の本を持っていったのか推測できる。
いくつかの所は小説が隣り合っていた。
小説からではどこにいったのかはわからない。
ふと、最後に見た部分の隙間の左右が、観光のパンフレットだった。
左の方は出雲、右の方は名古屋だった。
出雲と名古屋の間で、さらに綾が行きそうな所は……………………。
………京都、後は奈良ぐらいか。



信「ということは綾は京都か奈良にいると?」
涼「おそらくは……………」
信「ふーむ、だが京都といっても結構広いぞ」
涼「まあなんとか見つけてみますよ」
俺は深く溜め息をついた。
涼「なんとか綾を見つけないとなあ………………」
信「ほお、もう『綾』と呼び捨てにするほどになったか」
涼「べっ、別にいいじゃないですか。俺が綾さんをどう呼ぼうと」
信「ほっほっほ、照れるでない」
涼「もう……………」
信「ふむ、見つけたらお仕置きをせんとな」
涼「お仕置き?」
信「うむ、昔はよく押し入れに閉じ込めておったな」
……………………試しに想像してみた。



バタンッ!!
綾「涼さんっ!開けてくださいっ!」
涼「駄目だよ、元はといえば綾が悪いんだから」
綾「お願い……開けてください………」
ほとんど泣き声に近い声だ。
綾「うっ……ぐすっ……ひっ……」



涼「………俺がお仕置き、考えときます」
これは無理だな………………。



翌日、俺は早速京都へ向かった。
京都駅について、辺りを見回した。
中学の修学旅行以来だな。
しかしまあ、京都駅もずいぶんとでかいビルが建ったなあ………。
さてと、早速綾を探そう。
ここから近い観光場所は東本願寺だな。



東本願寺に着いたものの、綾の姿はなかった。
まあそんな簡単には見つからないか。
後の有名な所といえば、清水寺、銀閣寺、金閣寺に三十三間堂か。



有名どころの寺を行ってみたが、綾は見当たらなかった。
京都を甘く見過ぎた。



すっかり日も暮れて、綾を探すのが難しくなる。
とりあえず宿を探そう。



少し探していると、宿が目に入った。
豪華、とまではいかないが、趣のある風流な宿だった。
とりあえずここにするかな。
お金が足りるといいのだが。



宿の戸を開けると、女将さんが来た。
涼「すいません、泊まりたいんですけど」
女将「ええ、お部屋は空いとりますけど……………」
涼「どうかしたんですか?」
女将「ええ、実は………………」



涼「ああ、それなら俺がやりますよ」
女将「せやけど長旅でお疲れやのに…………」
涼「大丈夫ですよ。女将さんはゆっくりしていってください」
女将「ほんまにおおきに。代金は無料にしておきますさかいに」
涼「助かります」



部屋について一息ついた。
さてと、食事でもしてから風呂に入るとするか。



案内図を見てみると、露天風呂とあった。
へえ、露天風呂か。
俺は早速行くことにした。



浴場は広々としており、夜景が綺麗だった。
湯船につかると、ちょうどいい湯加減だった。
結構歩いたからなあ、疲れが取れそうだ。
明日にはなんとか綾を見つけないとなあ………………………。
チャプン……………。
ん…………………誰か入っているのか?
…………どうせ部屋に着いてもやることはないし、話でもするか。
音の方へと行くと、湯気で見えないが湯気越しに人影があった。
涼「すいませーん、旅行の方ですか?」
人「えっ?」
……っ!今の声は!
すぐにその声の所へ行く。
そこには、探していた人がいた。
ここ、混浴だったんだ。
涼「綾………………」
綾「りょ、涼さん……………」
俺はたまらず綾を抱いた。
お互い裸にバスタオルであることも忘れて。



涼「探していたんだよ。綾」
俺は抱くのをやめてとりあえず離れた。
綾「心配かけてごめんなさい、涼さん…………」
涼「いや、いいよ。それよりも、綾」
綾「はい」
涼「一つだけ教えてくれないかな。家出の原因の揉め事でおじいさんに何を言われたんだ?」
綾「それは…………」
すっと綾の表情に影が出た。
綾「揉め事の原因は私が悪いんですが、おじいさんは涼さんの事を言って…………私の事はどう言われてもいい。でも、あなたのことだけは言われたくない……っ!気がついたら新幹線の中に……………」
涼「そうだったんだ………」
綾「本当にごめんなさい………お詫びに何でもしますから…………」
何でも、と言われても…………ん?
ふと、おじいさんに言われた『お仕置き』と女将さんの用件を思い出した。
………………これだ。
涼「まあ、綾には迷惑がかかったことで………」
俺はすーっと綾の後ろに回る。
涼「お仕置きを受けてもらうとしますか」
綾「えっ?」
俺は右手を綾の胸にまわし、左手を綾の下半身の方にまわす。
綾「きゃあっ!」
だが、綾もされっぱなしではない。
なんとかバスタオルで隠しながら腕で抑えいている。
さすがにこれはダメだということだ。
このまま強引にやれないこともないのだが、さすがに罪悪感が後で襲ってきそうなので、別の手でいくことにした。
首筋に軽くキスをする。
綾「んっ…………あっ………」
続けざまに首筋を舐め上げる。
綾「………ふあっ…………あ…ん…っ……」
少し色気のある声が出てきた。
何度かの行為によって、あらかた綾の性感帯はわかった。
もう綾の知らない所はないと言っても過言ではなかった。
もうちょい……かな。
ダメ押しに耳を軽く噛む。
綾「んうっ……やっ…………ああっ……!」
そろそろ…かな……。
試しに綾の腕を持ち上げてみた。
するとひょいと簡単に持ち上げられた。
もう抵抗はできなくなったようだ。
抵抗がなくなったので早速愛撫を始める。
綾「……んっ…ふぁ………あっ…!」
しかし、最後の抵抗をしてきた。
綾「ひ……人が来ますよぉ………」
だが、それは無駄な抵抗だった。
涼「その点に関しては大丈夫」
綾「えっ…………」
涼「実はここの女将さんが今日旦那さんとの結婚記念日で、そろそろ行こうかと思った時に俺が来たから、困ってたんだ。そこで俺が留守番をやることにしたんだ」
綾「そうだったんですか………あんっ…!」
涼「つまり、誰もこないから綾の喘ぎ声をじっくり聞けるってわけだ」
綾「んんっ…!あ………やぁ…ん……っ……意地…悪ぅ……」
かなり声が高くなってきている。そろそろ絶頂だ。
綾「あっ……わ……たし…も…おっ………あ…ああーっ!!」
絶頂を迎え、俺の方にもたれた。
俺は綾を持ち上げて抱き上げる。
綾「えっ…………」
何度かの行為によって耐久力が出てきたためか、絶頂を迎えても意識が持てるようになった。
それでも息がたえだえではあるが。
綾は思わず両手で胸を隠す。
だが、さきほどの愛撫でバスタオルがはだけていて、下の方がまる見えであることに気づいていない。
まあそのへんが綾らしいというか、かわいらしいというか……………。
涼「まだ終わっていないよ。俺のがまだなんだから………」
綾「そんなぁ…………」
涼「大丈夫、今度はやさしくするから…」
そういってキスをする。
綾「涼さぁん…………」
綾はもうすっかり艶のある表情になっている。
艶のある表情はなかなか見ることはない(いや普通は見られないか)ため、かなりぞくっとする。
さてと、第二幕を楽しむとしますか……………。



女将さんも帰ってきて、留守番も終了した。
涼「さてと、帰ろうか、綾」
綾「はい…『あなた』」
あなた。
その返事の言葉で十分な返答だった。



涼「ただいまー」
綾「ただいま帰りました」
信「おお、見つかったようじゃな」
綾「ご迷惑をおかけしました」
信「いや、わしも言い過ぎたようじゃ。ところで、綾にお仕置きは済んだのか?」
涼「ええ、ちゃんとヒーヒー言わせましたから」
綾「涼さんっっ!!」
信「ほっほっほ、まあこれで一件落着ということじゃな」
涼「…ですね」

後書き

涼「こらーっ!!竜也ァッ!(殴)」
作「痛っ 、名指しで呼ぶな」
涼「ちょっと待てよ、これじゃ俺完全に悪人じゃんか(泣)」
作「まあいいじゃん。たまにゃこういうのもいいだろ」
涼「たまにはって、ここ最近ハードなものばっかじゃねえか」
作「んー、まあ確かに」
涼「やっぱり『リング』の影響だな」
作「そうかな?」
涼「ここ最近の後書きでリングの事なんか書いてないからハマッてないと思われそうだけど、こいつはすっかりリングにハマッているからな」
作「気がついたら全巻買っていたからな」
涼「それでこんなハードになったんだろうな」
作「いや、リングを買わなくても変わっていなかったと思うよ」
涼「まあ、それは置いといて、どう?二度もデータ消えて大急ぎで作った感想は?」
作「うーんとね………………終わった――っっっ!!!っつー感じかね」
涼「前月の31日から今は8日。ざっと9日間か」
作「ああ、これで土下座せずに済んだ(笑)」
涼「さてと、今度は冬か」
作「ああ、そうなるな」
涼「で、なんかネタできてるの?」
作「ああ、実はもう漫画で言うネームはできているよ」
涼「えっ、そうなの?」
作「うん、まあそういうわけで次回をお楽しみってことで」





さてと、いかがなもんだったでしょうか。
涼との対談どおり、最近ハードなものばっかり書いているような気がします。
これではいかんということで、決心しました。
次回作の冬では18禁は作りません(断言)。
シャイニングの方はまだ続くため、ハードなのは直しようがありませんので、もう片方の綾のを自主規制とします。
と言っても次のだけはノーマルです。
次の次はどうかはわかりません。