嬉しい誤算

さーて、今日は2月10日か。
バレンタインまであと4日というわけか。
楽しみだな〜。



しかし、そんなにうまくいかないのが人生だったりする。
その夜。
グラッ。
涼「うわっ、地震だ」
かなり強い。
げっ、タンスが倒れそうだ。
しかも、倒れる先には………綾だ!
涼「危ないっ!綾っ!」
どんっ、と綾を突き飛ばす。
そして、タンスが倒れた。



地震が止み、静かになった。
涼「ふー、おさまったか……綾、大丈夫か?」
綾「ええ、ありがとうございます」
涼「危機一髪か………ん?」
綾「どうかしました?」
涼「………………両腕…………………折れた」



大至急、救急車に運ばれ、手術となった。
そして翌日。



綾「ど、どうですか?」
涼「まあ、完治するからいいけど………手がまったく使えないな」
綾「ごめんなさい……私があんな所にいたばかりに……」
涼「綾のせいじゃないさ………けど…」
綾「けど……?」
涼「バレンタインのチョコ、受け取れないな」
綾「あ………」




そしてバレンタイン当日。
結局治らんかった…。
というか、治る方がおかしいか………。
は〜……。




その夜。
綾「そんなに気を落とさないで……」
涼「まあ……ね……また来年があるけどさ……」
綾「手が……その…使えないだけですよ…ね」
涼「………」
つまり…………口移し?
涼「………いいのか?」
綾「………」
はい、と言わずにうなづいた。
涼「……いい娘だな、綾は」
綾「もう………してあげませんよ…」
涼「あ、ごめんごめん」
綾「じゃあ、ちょっと待っててくださいね」
パタパタとスリッパの音を立ててチョコを置いてある方へ向かった。
……………なんか……嬉しそうだな………。




そして数分後、綾がチョコを持ってきてくれた。
綾「お待たせしました」
涼「……なんか、嬉しそうだな」
その途端、ボンッと赤くなる。
綾「もう…………」
涼「それじゃ、頼む」
綾「は、はい………あっ」
涼「え?」
そう言って、綾は再びパタパタと部屋を出ていった。



ジャ――――……。
シャコシャコシャコ……………。
歯、磨いてるのか……。
……………あ――――――っ、もうっ、可愛くてしょうがねえなあ………。



綾「お待たせしました」
涼「準備、できた?」
綾「はい」
そう言って、綾は深呼吸をした。
綾「それじゃ、いきますよ」
綾はチョコの入った包みを差し出した。
綾「バレンタインです」
涼「ありがとう…」
そう言って、包みをあけ、中にある箱を開けると、ハート型のチョコが入っていた。
開けた段階で綾は真っ赤になっていた。
そりゃまさか自分でチョコを見せるとは思いもよらなかっただろう。
それを手に取り、手で割って、口に含もうとした。
綾「あ」
涼「え?」
綾「チョコ、柔らかい方がいいですか?」
涼「……………そこまで考えていたか………」
綾「え?…あ……」
さらに真っ赤になった。
綾の頭を撫でる。
………ギプスつけてるが。
涼「いい娘だよ……ほんと…………そんなところにまで気ぃ使ってくれて………」
綾「……い……いえ…」
涼「じゃあ………んー、ドロドロの状態で」
綾「わかりました…」
チョコを口に含み、ゆっくりと溶かしていく。
作業中の綾を見ていると、綾は再び真っ赤になった。
綾「あ……ふぁんありひないで……」
あんまり見ないで、だろう。
涼「駄目?」
コクコクと綾がうなずく。
でも、見たいもんなんだよ。男っつーのは。
ま、しょうがないか。
涼「わかった、じゃあ、後ろ向くから準備できたら叩いて」
綾「…ふぁい……」



そして、2分後。
綾「ん……」
トントンと叩く。
どうやら準備できたようだ。
涼「よし………じゃあ、綾は上からしてくれ」
綾「え」
涼「そっちの方がチョコ、流しやすいはずだ」
綾「ん……」
口に何かを入れたまましゃべると行儀が悪いのか、うなづいている。
涼「じゃ、俺は下に……」
そして綾は上からとなった。
涼「ゆっくり、流してくれ」
そう言って、綾にキスをした。
が、綾の口がなかなか開かない。
しゃあない、こじ開けるか。
舌を綾の口内に這わせる。
綾「んっ……」
すると、ドロリとしたものが口の中に流れ込んでくる。
それをじっくりと味わう。
かなりうまい。
普段食べている時よりもうまかった。
ピチャ………チュク…………。
淫靡な音が部屋の中に響く。
そんな音を気にせず、しばらくチョコの味を堪能した。




そして行為は終了した。
涼「ふう……」
綾「は…あ…………」
あ〜、すっごいうまかったな………。
ま、こういう食べ方ゆえに、か。
涼「綾」
綾「は、はい……」
涼「チョコの中に、なにか入れた?」
綾「いえ、何か?」
涼「ああ、すごくおいしかった」
綾「ありがとうございます」
涼「多分………」
綾「え?」
涼「綾の……唾液が混じってたからかな…」
綾「よくそんな事…平気で言えますね」
すでに綾は真っ赤になっていた。
……そういえば最近こんな事平然と言っているような………。




1ヶ月後。
うーし、ようやく骨折治った。
さて、ホワイトデーか。
なにか考えないとなあ…………。
やっぱり無難にチョコか…な。




涼「綾、バレンタインのお返し」
綾「わあ、ありがとうございます」
涼「まあ、というわけで………??」
綾「ん〜♪」
何故か嬉しそうに目をつぶった。
……………先月ので味をしめたな。
後書き
涼「なんかセクハラ小説と化しているな(笑)」
作「ごもっとも(笑)」
涼「で、バレンタイン、すでに過ぎてんだけど」
作「いや、だってこのネタが出来たのもすでに過ぎてたし」
涼「もっと前から考えろよ」
作「そう言われても当時はすごい忙しかったし」
涼「で、最近暇になったから作ったのか」
作「ま、そういうことかな」
涼「お前なめんなよ(笑)」
作「俺はこれが本業じゃないんだぞ」
涼「それもそうだがいかんせんなめすぎだ」
作「う〜、だってこの作品でネタ切れなんだよ」
涼「じゃあこれで当分はないってことか」
作「いや、そういうわけじゃない」
涼「どっちなんだ(笑)」
作「ま、そういうわけでまた次回」
涼「こんなところで終わりかい(笑)」