冬の章
何かをあきらめきれない僕自身とあなたに

ジリリリ………。
7時にセットされた目覚し時計が鳴った。
布団から手が出て、スイッチを押す。
ピタッと目覚ましが止まり、俺は布団から出た。
えーと、今日は…。
着替えながらカレンダーを見る。
2月14日。
あ、そうだそうだ、2月14日だ。
今日は大学の受験結果だ。

大学は綾さんと同じところの大学を選んだ。
理由は言わずもがな。
合格確率は90%。
まあ、確実に受かる。
綾さんとほぼ同じレベルだから多分綾さんも問題ないだろう。

そして、運命の日とも言える今日が来た。
綾さんと一緒に結果を見に行く予定だ。
もう1回カレンダーを見る。
2月14日。
うーん、何か今日もうひとつ何かがあったような……。
ピンポーン。
ドアホンが鳴った。
きっと綾さんだ。
すぐさま玄関に行き、ドアを開ける。
案の定そこに綾さんはいた。
綾「おはようございます、涼さん」
涼「おはよう、綾さん」
俺は靴を履き、家を出る。
涼「それじゃ行こうか」
綾「はい」

大学の入り口に着く。
ここで合格発表が決まる。
早速、入り口に合格発表のボードが張り出されていた。
受かるのは当然なのだが、やはり緊張する。
番号を確認する。
798番。
よし、798だ。
798…798…798…。
あった!
もう一回見直してみる。
間違いない。
合格だ。
涼「よしっ!」
そして気になる綾さんの方は。
綾「あっ!ありました!」
良かった……。
俺はにこっと微笑んで。
涼「おめでとう、綾さん」
そして綾さんも微笑み返しをして。
綾「おめでとう、涼さん」

そして家に帰る途中だった。
少し綾さんの様子がおかしかった。
涼「……綾さん?」
綾「あ…あの…涼さん…」
綾さんの足が止まった。
綾さんが鞄から何かを取り出す。
綾「…あの……これを…」
綾さんは俺に小包を渡した。
涼「…………!」
この行動でもうひとつの今日がわかった。
バレンタインデーだったんだ…。
そして綾さんが俺に、ということは…。
綾さんは俺が好きだということだ。
綾さんは精一杯の勇気で告白してきた。
なら…俺は彼女にその返事をするべきなんだ。
そう考えた直後。
綾「そ…それじゃあの…さよな」
涼「待って!綾さんっ!」
俺は帰る綾さんの手を掴み、そのままぐいとひきよせて、抱き締めた。
綾「えっ……りょ、涼さん…」
顔は見えないが、恐らく綾さんは真っ赤だろう。
涼「ありがとう、綾さん」
綾「えっ………」

涼「俺は、あなたが…」

後書き

…つーわけで、終わりですけども…。
一応ね、続きらしきものはあるんですけど…、ちょっとどうしようか考えている状態です。
でもまだ続きのやつが完結していないので、ちょっとこの後どうなるか心配なので、これに関しては保留させてもらいます。
まあ代わりといってはなんですが、その後の話のことをやろうかと考えています。
これについてはちゃんとできているので問題はありません。
こうして『綾』を半年以上やってきたわけですが…疲れました。
セリフ、セリフの連続に今までないほどの苦しみがありました。
やっぱ女の子のセリフほど難しいものはないですね。
よくもまあ投げ出さなかったもんだと思います。