掌(てのひら)が歩む道

ぺた、ぺたと春香がよつんばいの状態で動く。
ようやく春香もハイハイが出来るようになった。
涼「…感動するな」
自分の娘が成長していくのは嬉しいものだ。
……そうだ。
涼「綾、試しに春香がどっちに来るか試してみようか」
要するに涼と綾のどちらが好きか、である。
綾「別にいいですよ」
綾は妙に自信があるようだ。
その自信に不安を感じ、
涼「…ハンデつけていいか?」
綾「どんなハンデです?」
涼「…これ」
手にしたのは振るとガラガラと鳴るおもちゃ、通称『ガラガラ』。
綾「構いませんよ」
しかし綾は動じない。
…どこからその自信はあるのだろうか。
春香と少し距離を置いて、綾と涼は2人の間を少し離れて座る。
涼「…よし、スタート!」
早速ガラガラを鳴らす。
ただし、うるさすぎると来ない可能性があるので控えめに。
そもそも最近春香はこのガラガラが気に入っているようだ。
最近のブームに乗るのは基本だろう。
勝利を確信した。
が、春香のハイハイは明らかに綾の方へと向かっていた。
そしてそのまま綾の所へ。
綾「はい、頑張ったね春香」
涼「えー!?春香はお父さんが嫌いなのか!?」
極端な結論だ。
涼「くっそー、ガラガラはもう興味ないのかな…」
しかし、ガラガラの音に反応したらしく、春香が喜びの声を出す。
涼「そういうわけでもないか…」
涼はある事に気づいていない。
春香にとって綾はかつて自分がいた場所なのだ。
自分の故郷を忘れる者などいない。
そして、綾はその事に気づいている。
だから、涼のハンデも問題は無かった。
涼「うーん…どうすれば春香が来てくれるんだろ…」
涼がその事に気づかない限り、きっと春香は来ないと思う。
…気づいたところで勝算は上がるわけではない。
綾を上回るものなどないのだから。

後書き

さて、この話を書く前に、俺の幼馴染が結婚をして子供がもういるという事実を知りました。
その幼馴染とはもう10年会っておりませんでした。
このEXEを書いている時期にそんな事実を知ったのも何かの縁というか奇遇というか運命というかなんというか…。
さて、次回で最終回となりますが、ちょっとしたカラクリがありますのでお楽しみに。
それでは次回にて。