春「ケホッ、ケホッ……」
朝からどうも春香の調子が良くない。
光「大丈夫か?」
春香の額に手を当てる。
…………結構熱い。
光「ちょっと待ってろ。体温計持ってくる」
大急ぎで先生の部屋に向かった。
光「……38度。今日は寝てろ」
春「光一君はどうするんですか?」
光「看病だ。俺一人じゃ退屈だしな」
春「いいですよ。私に気を使わなくても…」
光「春香が心配なんだ」
…………多分熱で理解できなさそうなので多少大胆に言っても問題はなさそうだ。
春「光一君」
光「春香のお父さんから頼まれてるようなもんだからな。春香をほっといていけるかよ」
春「………うん」
光「ほら、ベッドで寝てなよ」
春香をベッドに寝かす。
ま、今日は床だな。
春「…………ぐすっ………ひっく………」
春香の瞳からぽろぽろと涙がこぼれる。
俺まで巻き込んでしまった事に泣いているのだろう。
光「…泣くなって」
指で涙をつうっと拭う。
光「まだ修学旅行は始まったばっかなんだ。今日の分を明日に持ち越せばいいんだ」
春「ごめんね……ごめんね……ひっく…………」
………どうも泣かれるとどう対処すればいいのかわからなくなる。
そういう事なかったせいだろうけど。
光「ゆっくり寝てろ。明日ずっと一緒にいてやる」
春「うん…」
………我ながらどんでもねえ事口走ってるなあ…。
熱でもうろうとしてる状態でしか言えないというのもなんだか情けないなあ…。
そして翌日。
春香の熱は下がった。だが、
光「う…………39度」
今度は俺だ。
春「ごめんなさい………私が移したみたいで……ぐす……っ……ひっく…」
光「な、泣くなって」
だるい体で春香の涙を拭う。
まさか俺が寝こむとは……。
………ホントに移ったのかな……。
春「今度は、私が看病してあげますね。治ったら今度こそ一緒に行きましょう」
…………今度こそ?
とりあえず俺が口走った事は覚えてるみたいだな。
けど、その意味理解してんのかなあ………。
…………いかん、熱のせいか思考が働かない。
とりあえず…………それ後回しにして寝よう。