ペチュニア

光「どりゃあっ!」
バンッッ
光一の背負い投げが決まる。
審判の旗が挙がる。
一本勝ち。
光「ふー……」
対戦表を見た。
団体戦で光一が大将。
そして相手側も大将。
つまり、こちらの勝ちという事だ。
…………しかしまあ、何で今日限りの柔道部員に大将をやらせんだか。
うちはそこまで弱いのか…。

春「お疲れ様、光一君」
光「ああ」
春「はい、スライスレモン」
光「ありがと」
そう言ってぽいっと口に入れた。
光「うっ!」
ぶるぶると震える。
元々レモンや梅干が苦手なのに何の覚悟も決めてなかったのが悪かった。
たとえハチミツ漬けにしていたとしてもだ。
光「さて………次は空手部か」
春「えっ?柔道部だけじゃないんですか?」
光「ああ。空手部も同じ日に試合がある」
春「じゃあ、私も一緒に行っていい?」
光「いいのか?せっかくの日曜日なのに」
春「うん。光一君の試合見てた方が楽しそうだから」
光「……そら、どうも」
光一はポリポリと頬をかいた。

光「せいっ!!」
中段正拳突きが決まる。
元々空手部だったので特に問題はない。
しかし、対戦数が問題だった。
団体戦は団体戦ではあるが、大将である光一以外が相手校の先鋒に負けてしまい、1対5の形となった。
…………また大将になっているのはともかく何だ?うちのこういう格闘部はみんな弱いのか?
光「うっ……」
またしてもレモンスライスのすっぱさに負ける。
前回の経験をものの見事に活かしていない。
春「これでおしまいですか?」
光「いや、あと剣道部」
春「………これも大将ですか」

光「面っっっ!!!」
勝負は一瞬にして決まった。
開始の瞬間に光一が間合いを詰め、面が決まる。
まあ今回も大将の光一以外が負けて後は光一が5連勝という形になった。
光「…………」
試合が終わった途端、光一はすぐに防具を脱いだ。
春「どうしたんですか?」
光「………臭い!」
空手や柔道は元々空手部だったので胴着は持っているが、さすがに剣道の防具は持っていない。
よって他の剣道部員から防具を借りた。
が、汗臭い。
他人の汗の匂いは耐えられるものではない。

かけもちが終わり、後は帰るのみとなった。
光「……あー、疲れた」
ベンチに座る。
春「お疲れ様」
光「悪いな、春香まで付き合ってくれて」
春「ううん。光一君かっこ良かったです」
光「そりゃどうも」
春「少し、休みます?」
光「いいのか?」
春「だって、光一君疲れてるだろうし」
光「でも、どこで?」
春「ここです」
ぽんぽんと腿を叩く。
光「……………ここ、とおっしゃいますと?」
春「で、ですから、その………膝枕」
光「い、いや無理しなくてもいいぞ」
赤くなってまでするほどのもんじゃないだろうし。
……してもらいたいのが本音だけども。
春「光一君、今日は頑張ったんだからご褒美です」
………なんてまあ素敵なご褒美だこと。
光「……じゃ……お言葉に甘えて」

まあ膝枕というのだから膝が枕の代わりなわけだが、心地よい。
通常の枕とは違う独特の柔らかさがある。
………膝枕が商品化したら売れるだろうな。

そんなわけでしばらく横になった。
一休みもしたわけだし、ぼちぼち家路へ向かうか。
目を開けると、太陽の光が目に入った。
完全に見えない。
とりあえず起きなければ。
春香の肩を借りて起きよう。
少し上の辺りに手をのばす。
すると、ふにっとしたややでっぱった部分があった。
それをつかみ、起きあがる。
光「ふー、十分休んだし、行こうか春……」
2人は固まった。
膝枕が原因ではなく、その後である起き上がった時が問題だった。
つかんだ場所が大問題。
つかんだ部分は、春香の胸だった。
そして、胸をつかんだままだった。
完全に真っ赤になった春香の手がひゅんと動く。

スパァァン

春「なっ、なっ、何をするんですか!?」
光「いやその、不可抗力というやつで、その…」
ヒリヒリとした頬をさすりながら弁解する。
春「じゃ、じゃあその手は何です?」
光「え?」
つかんだ手の形が、そのままを維持していた。
ちょいちょいと動かす。
………柔らかかった。
その妙な動きに、再び春香は真っ赤になり、そして

スパァァンンッッ!

校内に響く程の音が鳴った。

後書き

さてさて、今回は今までにない学園モノでした。
まあ、実際には学園モノというのは皆無だったりしますけども(笑)。
………連続でセクハラネタがありますが、多分………続くと思います(笑)。
それでは次回にて。