修学旅行から1ヶ月が経つ。
そろそろ進学の事もちらほらと出てくる。
一緒に下校していると、
春「光一君は大学に?」
光「ん、そうだな。専門学校も考えていたけど」
2人とも同じ大学を志望していた。
同じ大学なのは偶然だった。
違う進路だったらどうだったろう。
……わからない。
自分はそんな立場になってないからだ。
春「……光一君?」
春香に呼ばれ、
光「えっ、何!?」
驚いた。
自分の心の中を読まれた気分だった。
春「どうかしたんですか?ずっと考え込んで…」
光「あ、いや、何でもないよ」
好きと言いたい。
春香と再会してからこのもやもやが大きくなってくる。
幼馴染というひとつの壁を越えたい。
帰り道、いつもの道だが、いつもと道が違っていた。
人がいない。
静かだった。
…………今なのだろうか。
いや、今言わなくていつ言える?
そう思った直後、
光「なあ、春香」
春「何ですか?」
光「…もっと好きになってもいいか?」
春「…え?」
………失敗した。
光「い、いや、何でもないよ」
さすがに好きとダイレクトに言えば良かったのか。
自分の言った告白に難癖をつけた。
その夜。
春香は布団に潜り込んでいた。
そろそろ寝る時間だ。
ふと、下校時に光一が言った言葉を思い出した。
『もっと好きになってもいいか?』
その意味が理解できなかった。
どういう意味なのだろう。
目を閉じた。
好きになってもいいか、という事。
私を……好きに?
光一君は、私の事……
ぱっ、と目を開ける。
顔から火が出るようだ。
ようやく、今になって気づいた。
何故もっと早く気づかなかったのだろう。
あれは告白だった。
胸が締め付けられる。
胸を抑えるが、まったく意味はなかった。
違う苦しさがあった。
春「光一君……」
逆効果だった。
余計に苦しくなった。
だが、これでハッキリとした事がある。
光一君の言った意味。
そして、次にどうしようもない考えが出た。
私は、この光一君の告白にどう答えたらいいのだろう。