嵐の晩餐

葵「…………………」
涼「どうした。ものすごい顔してんぞ」
やつれた顔ではあるがやつれていない感じだ。
というかむしろぷっくりした感じだ。
葵「いや、実はな…和佳奈さんが料理を始めてな、それの味見役をやってんだ」
涼「へえ、和佳奈さんも頑張ってんだな」
葵「ところがだ。かなりの量だ一人で食うにゃものすごい大変」
涼「ふうん…………で、今日もあんのか」
葵「………………ああ…………………行きたくない」
涼「…………じゃ俺がやってやろうか?」
葵「えっ、マジ?」

涼「…………というわけでね、俺が試食する事になりました」
和「それじゃ、よろしくお願いします」

和佳奈さんがタン…タン…と少々リズムが取れていない包丁の音がする。
まあその辺は努力すればなんとかなるだろう。
しかし葵のやつも根性ないのう。
せっかく彼女が一生懸命に作った料理でゲッソリするなんて…。
そうこう考えているうちに1品目が来た。
まあ最初は前菜でアスパラのソテー。
涼「じゃあ、いただきます」
和「どうぞ」
ぱくっと一口。
…………………。
涼「うん、うまい」
和「良かった………それでは次の料理、いきますね」

1時間後
涼「うぷ………」
かなりの量が胃袋に収まった。
今までにきた料理は……前菜、前菜、前菜、前菜、前菜、前菜…。
前菜がたっぷりと襲ってきたわけです。
前菜ってことはまだメインがあるという事で。
つまりメイン、メイン、メイン、メイン、メイン……という事になる。
………葵がなんでゲッソリしてるようでゲッソリしていないのがものすごくわかった気がする。

2時間後
涼「ちょ、ちょっとトイレに」
これ以上は限界。
トイレで戻せば多少はもつ。
和「………」
な、なんで目を潤ませるんですか!?
……行くに行けん。
涼「…じゃ、次の料理、お願いします」
和「はい」
コロッと表情が変わる。
…………葵のやつ、こんなのがずっと続くとは……同情するなあ…。

涼「………うっす」
葵「…わかったろ、俺の苦悩」
涼「ええ。もうこれ以上ないっつーぐらい味わいましたよ」
和「あっ、ここにいたんですね」
涼・葵「あ、和佳奈さん」
和「今日も料理を作りますからお二人とも来てくださいね」
涼・葵「え」
和「昨日よりも材料いっぱい買ってきましたからお腹いっぱいになってくださいね」
涼・葵「え゛」

後書き

さて、和佳奈もだいぶ料理がうまくなりました。
次は限度というものを覚えましょう(笑)。
それでは次回にて。