大人のチョコレート

涼「そういや………もうすぐバレンタインか…」
葵「ああ、そういえばそうだな」
涼「なつかしいな………あの時」
不意に、あの日を思い出す。
合格発表の帰り道、綾さんからもらったチョコレート。
抱擁、そして告白。
あの時の事は鮮明に覚えている。
まるで昨日の事のようだ。
葵「ま、2人とも無事に結ばれたし、今年ももらえるだろうな」
涼「あ、そういうことだな」
今年は、どんなチョコレートをもらえるんだろう…………。

喫茶店にて。
綾「……………どうしようかな……涼さんのチョコ…」
和「まだ決まっていないの?」
綾「ええ………普通じゃちょっと……」
紅茶を一口飲む。
去年と同じというパターンはあまり好まれない。
となると新しいチョコレートを作らなければならない。
けれど、アイデアは見当たらない。
そういうわけで和佳奈に相談していた。
和「私は……去年お店で買ってきたから、今年は手作りでやろうと思ってるの」
以前も手作りだったので今回も手作りが基本になる。
後はプラスアルファだ。
そのプラスアルファをなんとか………。
和「気分転換に本でも読む?」
綾「じゃあ、お願いします」
和佳奈が本棚の所に行き、適当な雑誌を持ってきた。
綾「ありがとう」
雑誌を和佳奈からいただき、表紙を見た。
ファッション雑誌のようだ。
ふと、雑誌の裏表紙に口紅の広告があった。
綾「……………………………………あっ」
和「何か、思いついたの?」
綾「ええ、きっと喜んでくれると思います」

そして2月14日。
葵「ういーす」
涼「おう。あれ、和佳奈さんと一緒じゃないのか?」
葵「ああ。お前も?」
涼「綾さん、ちょっと用事があるから遅れるそうだ」
葵「ふーん、もしかすると2人ともチョコの準備してんじゃないの?」
涼「あっ、そうかもな」

綾「おはようございます」
和「おはようございます」
2人揃って教室に入ってきた。
涼「おはよう」
葵「和佳奈さん、おはよう」
和「葵君、今日は何の日かわかっていますよね?」
葵「ああ。バレンタインデーでしょ?」
和「正解です。はい、チョコレートです」
葵「わー、ありがとう」
和「今回は手作りでやってみました。ちゃんと1人でですよ」
葵「すっげえ嬉しいよ、和佳奈さん」
涼「……あの、綾さん」
綾「はっ、はいっ!」
かなり慌ててるようだ。
そんなに緊張するほどのものかな?
涼「………………俺には?」
綾「え、ええ。もちろんありますよ」
そう言って、俺にチョコが入っているのであろう小包を渡してきた。
涼「開けてもいい?」
綾「えっ!?そっ、それはそのっ!!??」
涼「…………ダメ?」
綾「………………………………………………………………………すぐに閉めてくださいよ」
すぐに閉めろって…………。
そんなに変なのかな?
まあ開けてみればわかるか。
開けてみると…………………
なんだ、普通のハートマークのだ。
以前も同じ形だったけど……………………おや?
なんかカードが入ってる。
えーと……………………あっ!!!!!
涼「キ……キスマーク…」
綾「わっ!言わないでください!!」
だって言っちゃうよ、これは。
和「えーっ!!!???すごい大胆……」
葵「……………徹底してるな…」
綾「もう………涼さんのばか……………」

後書き

と、言うわけですでにバレンタインデーは過ぎてしまいましたが(苦笑)バレンタインデーネタでした。
キスマーク付きメッセージカードですが、俺が一番喜びそうなやつです(笑)。
ちなみにカードメッセージとあるようになんかのメッセージが入っているのですが……まあみなさんのご想像におまかせします。
それでは次回にて。