和「あっ、葵君。こっちですよ」
葵「ごめん、待った?」
和「いえ、私も今来たところですから」
葵「じゃ、行こうか?」
和「はい」
2月14日。
バレンタインデーと同時に大学の合格発表だ。
…受かってればいいのだが。
悩んでいると、和佳奈さんが、
和「大丈夫ですよ。あんなに頑張ったじゃないですか」
…うん、そうだよな。
葵「そうだよね。あんだけ必死に頑張ったんだから」
絶対、合格する……………………のかなあ。
そんなこんなで大学に到着。
そして門をくぐり、合格発表の貼られている掲示板の前に立った。
………さて、俺の番号………。
………………………………………………………………………………あった。
葵「っしゃあ!!」
くう〜、嬉しいなあ……。
っと、和佳奈さんのは……お、あった。
和「あっ、ありました!」
ふう、一安心といったところか。
あ、そういえば涼と藤原さんのは…と。
んーと……………お、あったあった。
結局、全員合格か。
そして帰り道。
和「あ、葵君…」
葵「うん?」
和「あ、あの……これを」
和佳奈さんが渡してきたのは綺麗に梱包された箱だった。
あっ、今日はバレンタインデーだったな。
葵「うわ〜、嬉しいな。合格できたしプレゼントもらえたし」
和「ふふ……」
…………なんか忘れて………あ。
葵「そういえばさ、和佳奈さん」
和「え?」
葵「…………俺が大学合格したら、お医者さんごっこしてくれるって…」
和「え!!??」
あっぶね〜、忘れるとこだった。
葵「まあ大学も受かったから、後は実践……ということで、いつか………ね」
和「……や、やっぱり………するんですか………?」
和佳奈さんはしょぼんとした状態だった。
葵「まあ、いやならしょうがないけども………」
和「本当ですか?」
和佳奈さんは明るくなる。
………現金な娘さんだな。
葵「うん」
和「良かった…………」
ま、和佳奈さんの嫌がる事はしちゃいかんよな。
…………………お医者さんごっこはしたかったけどな。
次の角を曲がれば後は一直線で家に直行だ。
角を曲がっ………あっ…。
涼と藤原さんだ。
藤原さんが何かを渡して……………。
あっ、藤原さんが走って逃……。
……………涼のやつ、ようやっとうまく行ったか。
和「良かったですね……涼君と綾ちゃん」
葵「うん…」
これで、本当に一安心だな…。
葵「道、変えよっか?」
邪魔しちゃいけないな。
和「ええ」
2人に気付かれないように俺達はその道を通り過ぎた。