葵「和佳奈さん……その………」
和「えっ?……あっ………」
和佳奈さんにすっと近付く。
葵「キス……してもいい?」
葵「和佳奈さん……その………」
和「えっ?……あっ………」
和佳奈さんにすっと近付く。
葵「キス……してもいい?」
和「えっ?えっ?ええっ??」
和佳奈さんは真っ赤になった。
まあキスしてもいいかなんて言ったら普通は赤くなるわな。
葵「……ダメ?」
和「い、いえっ。そういうわけじゃ………」
葵「…んー、もうかれこれ付き合って半年だし、そろそろ………仲を一歩進めたいな、と」
和「………」
葵「でしょ?」
和「あ、葵君がしたいのなら………いいです」
よし、許可ゲット。
葵「じゃ……するよ」
和「は、はい…………」
和佳奈さんは赤くなりつつも、目を閉じた。
………緊張するな。
自分がいいだしっぺとはいえ、やっぱり緊張する。
さらに近付く。
唇まであと10センチ。
9……………7………5…………3……。
あとちょっと………の時、
喜「お茶をお持ちしました」
なんでこういう時にくるんすか。
瞬時に離れ、『キスしようか』の前の状態に戻った。
和「あっ、ありがとうございます」
葵「どっ、どもです」
喜「……?」
喜久子さんはお茶を出した後、再び部屋から出ていった。
また乱入されると困るので耳を澄ました。
足音は階段を降りていった。
よし、当分はこなさそうだ。
葵「和佳奈さん」
和「はっ、はい」
葵「もっぺん、いい?」
和「え、ええ……」
多分、次はなさそうな気がする。
再び和佳奈さんの唇に近付く。
そして、先程妨害された時の距離に近付いた瞬間、
リリリリリン。
……こ、今度は電話かよ………………。
和佳奈さんは慌てて受話器を取った。
和「はい、宮崎でございます………はい、あっ…涼君、どうしたんですか?……ええ、いますけど…はい……わかりました」
………………………………………涼の野郎か。
和「涼君が葵君に変わってほしいそうです」
受話器を和佳奈さんから借りる。
葵「……なんだ」
涼「いやなに、家に電話してもいないもんだからもしかしたら和佳奈さんとこにいると思」
葵「これから一時間は電話をするな。もししたら明日処刑する。以上」
受話器を切った。
これでよし、と。
………で、問題は…。
くるりと和佳奈さんの方を向いて、ぱんと手を合わせる。
葵「泣きの一回、お願いします」
もう泣きすがるしかなかった。
和「……本当にあと一回だけですよ」
………これでミスったら当分はないな。
もう一度、和佳奈さんに近付く。
今度こそ。
三度目の正直だ。
二度ある事は三度ある。
この言葉を痛感した。
またしても喜久子さんが来た。
喜「お茶のおかわりはいかがですか?」
瞬時にぱっと離れ、以前のような状態に。
あ〜あ、これでお流れかよ…………。
で、結局その後は和佳奈さんが嫌がったので(さすがに4度目は無い)キスは無期延長となった。
で、帰る時である。
和「また来てくださいね」
ええ、なんとしてでも来ますとも。
喜「葵さん、またいらしてくださいね」
葵「うん、それじゃまた……?」
…………………喜久子さんが…………………喜久子さんが今一瞬…………ニヤリって………。
……………………………………狙ってたんかぁ〜っっっ!!
2度目の涼のはともかく………え?ちょっと待てよ………。
涼「ああ、メイドさんの喜久子さんに頼まれたんだ。あの時間に葵がいると思うから電話してって」
葵「……そ、そうか…………………………………………………」
最強の敵に出会ったような気がした。
綾の時はキスまですんなりといったと思うので和佳奈の場合は長くやっていきたいなと思います。
当分は葵と喜久子さんの戦いになりそうです(笑)。
さて、次回からはちょっと趣向を変えたものにしようと思います。
それでは次回にて。