決意の時

葵「結婚!?」
口に含んだ牛乳を吹き出した。
涼「ああ。決めた………というか、もう前からだけど」
涼は先程購買所で買ったパンを一口。
葵「学生結婚する気か?」
涼「いや、卒業してからだ」
葵「で、藤原さんの方は?」
残ったパンを食べ上げた。
涼「無論、承諾してくれた」
パンパンと食べカスをはらう。
葵「そっか……後は待つだけか」
涼「ま、そうなるな。両親の許可もとれたし、その気になりゃ役所行って婚姻届出せるからな」
葵「ようやくゴール、ってとこか」
涼「お前達は?」
葵「え?」
涼「どうなん?和佳奈さんとの進展具合は?いくらなんでもキスはしたろ?」
葵「……………………………………………………」
涼「……………………してないのか」
葵「やっぱまずいか」
涼「付き合ってかれこれ3年近くになるだろうからいくらなんでもそれはちょっと……」
葵「……………するべきか」
涼「するべきというか、しろ」
葵「しろ!?」
涼「このまましないと自然消滅しちまうぞ」
葵「自然消滅…」
涼「そうだ。事態はお前が考えてるよりも深刻だぞ」
葵「そんなに………」
涼「のんびりとしているヒマは本当にないぞ。なんとか喜久子さんの妨害を切り抜けて仲を深くするんだ」
葵「問題は喜久子さんなんだよな………それさえクリアすれば…」
涼「頑張ってクリアしろ。俺はとっくにした。ついでにそれ以上も」
葵「それ以上!!!???」
涼「普通は言わんものだが、お前には特別だ」
葵「すっげーな、お前………」
涼「むしろなんもしてないお前の方がすごいと思うが」
葵「………それもそうか」

葵「……とは言うものの、なんとか喜久子さん対策をしなけれりゃなんねえけど、アイデアはないか?」
電話にて今後の会議をしている。
涼「アイデアか………喜久子さんを旅行に行かせるとかは?」
葵「うーん、以前もやったんだけど失敗した」
涼「じゃあ、その逆で和佳奈さんを連れ出すのは?」
葵「それも」
涼「じゃあ、喜久子さんをおどすのは?」
葵「あのな…俺は女性を泣かせるような残虐行為はできねえんだよ」
涼「残虐まで言うか………………よし、喜久子さんは俺がなんとかすっから、お前はお前でなんとかしろ」
葵「そんな事………できるのか?」
涼「ああ。こうなったら綾さんにも協力してもらって喜久子さんを封じる」
葵「ありがたいけど………なんでそんなに親切なんだ?」
涼「いやなに、こっちの方が一息ついたからな。ちょいと天使のキューピッドにでもなってやろうとな」
葵「決して悪魔になるんじゃねえぞ」
涼「心配すんなって。喜久子さんを制すりゃ和佳奈さんを制したも同然なんだからよ」
葵「で、決行の日は?」
涼「来週の休日だ。俺がなんとか喜久子さんを誘い出すから、お前はなんとか頑張れ」
葵「………そうだよな。俺がなんとかしないとな」
涼「そうだ。うまく喜久子さんを封じてもお前が頑張らないと」
葵「ああ。なんとしてでも成し遂げる」

後書き

今までまったく進展のない葵と和佳奈ですが、ついに進展話が始まります。
このプロジェクトも後半戦に突入しました。
この話は前編で、後編へと続きます。
それでは次回にて。