like will 2

和「あ、あの……綾ちゃん」
綾「どうしたの?和佳奈ちゃん」
和「………お願いがあるの」
綾「お願い?」
和「私に料理を教えてほしいんだけど……………」
綾「料理?」
和「うん……。どうしても葵君に私の手料理を食べさせたいの………」
そういうことか。
綾「ええ、別にいいわよ」
和「良かった…」
ふふ、葵さんの為にお料理を勉強するんだ。

綾「それで、葵さんの好きな食べ物は何?」
とりあえず、好きな人の好物を作るのが最適だろう。
まず好物ができるようになって、後は少しずつレパートリーを増やせばいいだろう。
和「えーと……………確か、カレーでした」
カレーか……。
綾「葵さんは辛いの好き?」
和「ええ、葵君からも聞きました」
となると、ある程度の辛さのあるカレーがいいという事になる。
綾「それじゃあ、辛いけどおいしいカレーを教えるね」

たまねぎをどっさりと置いた。
和「こ、こんなに使うんですか!?」
綾「うん。野菜の甘味がカレーの辛さをより引き出すの」
たまねぎをみじんぎりにする。
和「全部みじんぎりに?」
綾「ううん、ある程度は具として残すの」
和「ある程度を具?」
鍋を取り出して、加熱する。
ある程度暖まったら大量のみじんぎりにしたたまねぎを入れる。

そしてしばらく炒める。
和「もうたまねぎがきつね色になってきたけど………」
綾「まだ。ペースト状になるくらいまで炒めるの」
和「そんなに!?」
綾「これはソースに近いものなの。砂糖とかのべたつく甘さよりも自然な甘さが出て、とってもおいしいの」
和「…………」
大変だなあ、料理って……。

残ったタマネギをある程度の大きさに切って、肉、人参、じゃがいも等の野菜と一緒に炒める。
後は水をたして、カレー粉もしくはカレールーを入れる。
綾「だけど、それじゃあまり辛くないの」
和「えっ?」
綾「ちょっとしたモノを入れるの」
そう言って、綾はカレー粉を手に乗せて、すっと和佳奈に差し出した。
和「?」
綾「ちょっと舐めてみて」
和「?はい」
ぺろっと舐めてみる。
普通のカレー粉だ。
和「普通のカレー粉だと思うけど…」
綾「それじゃ、今度はこれを」
そう言って、別のカレー粉を取り出す。
?マークを出しつつそれを舐めてみる。
和「こっちの方が辛いですけど、特別なカレー粉ですか?」
和佳奈の返答にくすっと笑った。
綾「実は、同じカレー粉なの」
和「え!?」
すっとんきょうな声が出る。
綾「辛い方のはカレー粉と砂糖を混ぜたものなの」
和「砂糖?」
綾「よくスイカに砂糖をかけるけど、それは塩のしょっぱさによってスイカの甘さがより強くなるの。それと同じ原理で、砂糖を入れる事によってカレーの辛さが強くなるの」
和「………綾ちゃん、すごいね……」
綾「そうかな?料理が好きでよく作ってるから」
和「これ、涼君は食べた事は?」
綾「もちろん。すごくおいしいって顔をしてくれた」
綾の顔がにこにこと上機嫌になる。
………ノロケを聞いたような気がする。

後はカレー粉を入れて、出来あがり。
綾「これで出来あがりだけど、覚えた?」
和「うん、なんとかできそう」
綾「これなら葵さんも喜んでくれると思うわ」

綾ちゃんの言う通りにきちんと作ったし、味見もした。
よし、後は葵君が食べてくれるのを待つだけ。
作っている最中、葵君に連絡をしたのでそろそろ来るはずだ。
ピンポーン。
来た。

和「葵君、お待ちしておりました」
葵「なんか、食べさせてくれるって言ってたけど……」
和「ええ、もう出来あがってますので」

皿にご飯を盛って、カレールーをかける。
和「どうぞ召し上がれ」
葵「いただきま〜す」
ぱくっと一口。
和「ど、どうですか……?」
うまくできていると思うが、やはり不安だ。
葵「………うん、おいしいよ。俺好みのカレーだ」
良かった………。
それでこそ頑張った甲斐があるというものだ。
葵「いや〜、喜久子さんの手料理食えるってのはありがたいことだよ」
えっっっっっ。
ガ〜ン。
せっかく頑張ったのに……………。

後書き

今までの作品とはちょっと違ったモノになりましたが、どうでしょうか。
まあぶっちゃけると元ネタが味っ子だからな(笑)。
さて、男同士、女同士と来たから次は男と女………と思いきや、次も女同士です。
まあ、残りの女同士のパターンは2通りしかないのですぐに察しがつくと思います。
それでは次回にて。