like will 4

涼「ふわぁ…………」
欠伸をした。
昨日夜更かしをしたせいか、やたらと眠い。
葵「大丈夫か?」
涼「ん………少し寝かしてくれ」
和「それでしたら、ベランダで寝たらどうでしょう?」
涼「いいの?」
和「ええ、しばらくしたら喜久子さんが起こしてくれますから」
涼「わかった」

ベランダに出ると、気持ちのいい風が来た。
近くに背中を傾ける部分が可動式になっているイスがあった。
早速そのイスに座り、少し後ろに傾ける。
ちょうどいい具合に傾き、早速寝ることにした。

和「喜久子さん、そろそろ涼君を起こした方が……」
時計を見た。
あれから2時間程経過していた。
喜「そうですね。それでは起こしてきます」

ベランダに出ると、早速涼を見つけた。
喜「涼さん、起きる時間で…………」
喜久子は涼の寝顔にしばしみとれた。
かわいい……。
いつも和佳奈の寝顔を見ているが、それよりもかわいい。
涼「ん………」
ころんと寝返りをした。
それがやたらと無性にかわいく見えた。
妙に胸がどきどきする。
………惚れた?
かもしれない。
ずっと見ていたい。
一人占めしたい。
そんな欲が出てきた。
が、
綾「涼さん、まだ寝てます?」
後ろから声をかけられ、別の意味でドキッとした。
喜「え、ええ。気持ち良さそうに寝ています」
綾「ふふ、よっぽど眠かったんでしょうね」
綾がにっこりと笑う。
その笑みではっきりとした。
大切な人への微笑み。
それがはっきりと見えた。
…………赤い糸。
どんな運命が待っていようとも決して切れる事の無い糸。
綾がぽんぽんと涼を優しく叩く。
涼「んっ………」
涼が目覚めた。
綾「ふふ、おはようございます」
涼「ん、おはよう……」
目をこすりながら、あいさつをした。
そんな2人を見て、溜息をついた。
勝ち目はないか…………あんな娘が相手だと。

葵「それじゃ、また明日」
涼「じゃ、一緒に帰ろうか、綾さん」
綾「ええ」
3人はそのまま帰っていった。
そして帰ったと同時に喜久子は溜息をついた。
喜「はあ……」
和「……?」
私に春は来るのかな…………。
一方、和佳奈は喜久子の溜息にちんぷんかんぷんだった。

後書き

今回は涼×喜というパターンでした。
今回であきらかになったと思いますが、涼のフェロモンは寝ている時に発揮するのです。
和佳奈以外が涼の寝ている姿に惚れたのですから。
ちなみに、最近よく寝るネタが多いのですが、結構好きなんです。
時と場合によって結構色んなパターンが生じるので。
それでは次回にて。