葵「あれ、綾さん。おはよう」
綾「おはようございます。葵さん」
葵「涼は？」
綾「今日は風邪をひいてしまったみたいで、お休みです」
葵「ああ、そうなのか………………って、どうして綾さんが知ってるの？」
綾「えっ……それは……その………」
綾さん……真っ赤になってる…。
葵「……まさか、同棲？」
綾「いっ、いえっ………そういうわけじゃっ…」
葵「………じゃあ…居候？」
さらに真っ赤になった。
どうやら当たりのようだ。
葵「まあ、そうと知ってても別に………まあ、ね。大学の規律でも居候禁止なんてないし」
綾「………」
まだ真っ赤になっている……。
なんとかしないと後で涼のやつになんか言われそうだな…。
葵「……ところで、涼の様子は？」
綾「え、ええ、軽い風邪らしいのですぐに治るそうです」
葵「そっか」
ふう、なんとかなったか。
さて、話を切りかえて…。
葵「………涼とはだいぶ仲がいいみたいだね」
綾「そうですか？他の方はどうなのか聞いた事がないので………」
葵「ああ、あきらかに俺と和佳奈さんよりもなんかこう………進んでるみたいで」
綾「…………ふふっ」
葵「………何も笑う事は……」
綾さんの一言にヘコんだ。
綾「あっ、ごめんなさい。そういうわけじゃないんです」
葵「え？」
綾「じゃんけんは、お互いの息がぴったりと合わないとだめでしょう？」
葵「うん…」
綾「息が合ってないとどちらかが一方的になってじゃんけんが成立しないんです」
葵「………」
綾「恋愛だってそうです。どちらかが一方的になってしまうと、もう片方が悲しいでしょう？ですから、お互いがお互いを大事にする事によって、恋愛が成立すると思うんです」
葵「そっか………」
綾「でも………お互いを大事にすることは必要ですが、ほんの少しだけ対立が必要だと私は思うんです」
葵「対立…」
綾「絆はそのままではだめなんです。たまにひっぱり合うことで絆を強くできる」
葵「…………」
綾「…あっ、ごめんなさい。何かえらそうな事を言ってしまって…」
葵「いや、そんなことはないさ。ありがとう」
綾「……」
葵「ちょっと、ね。確かに焦ってた。和佳奈さんとの仲が進展しないから……」
綾「…………」
葵「そうだよね。無理に急ぐ必要はないんだ。ないんだけど……………はあ」
綾「………」
葵「まあ本音を言うと、進展したい………けど、喜久子さんが……」
綾「喜久子さんが、どうかしたんですか？」
葵「なんか、チャンスのたびに妨害が……」
綾「………なんで、妨害なんかするんでしょうね？」
綾さんの言葉に納得した。
葵「そういえば…………なんでだろ」