葵「涼〜」
涼「……お前はのび太か」
葵「バックがわからん」
涼「そりゃまあ、前進する時の逆だし、後ろは見づらいからな」
葵「対策プリーズ」
涼「対策か…………クルマを把握しろ」
葵「把握?」
涼「正確に言うと、そのクルマの横幅と縦幅だ」
葵「ああ、そうすりゃそのクルマの大きさがわかるから、バックする時の目安になんのか」
涼「あとは、その場のイメージだ」
葵「どうやって?」
涼「まあ、上面図のように上から見た感じでイメージすればいい」
葵「あ、そうすりゃバックも楽勝だな」
……………そううまくいかないんだけどな。
葵「おーい、バック一発で成功だ」
涼「………マジ?」
この男、さりげなくすごい事やってんな。
葵「涼〜」
涼「俺はドラえもんじゃないぞ」
葵「縦列なんとかってやつができないんだ」
涼「縦列駐車」
葵「そう、それ」
涼「あれはかなり大変だぞ。そうそう簡単にはいかねえぞ」
葵「なんとかならんか?」
涼「そればっかりはな…………あ、バックの応用でやるといいかもな」
葵「というより、バックだろ。あれは」
涼「それもそうだが、バックする時みたいに、イメージしてみりゃうまくいくかもな」
葵「よし、今度試してみる」
葵「うまくいったぞー」
涼「……………げ」
適当に言っただけなのに……。
葵「涼〜」
涼「今度はなんだ」
葵「効果測定がクリアできん」
涼「あんなん○×だから、問題覚えちまえばいいじゃん」
葵「そうそう何問も覚えられねえよ」
涼「できない問題だけ覚えりゃいいよ。90点以上取れればいいんだから」
葵「なるほど」
涼「今度は何だ」
葵「まだ何にも言ってねえ」
涼「どうせ仮免だろ?」
葵「いや、それはクリアして、今度は路上に出るんだが」
涼「対した事はねえよ。単純な話他車のクルマとコースが増えただけだ」
涼「ようやく本試験か」
葵「なんかコツってある?」
涼「んー、まあ結局は○×と実地だからな。教科書読めば問題はねえよ」
葵「取れたぞ、免許!」
涼「お、やったな」
葵「っつーわけでドライブでもしようや」
涼「………………」
不意に、最初に川原の側でクルマの特訓をした時の事を思い出した。
涼「却下」
葵「えー、なんでだよ」
涼「お前どーせ本試験の筆記はギリギリで実地でもエンストとかしたろ」
葵「うぐっ」