涼「……お前、本気か」
葵「まあ、本気と言えば本気だな」
無謀。
この言葉にぴったりだ。
涼「俺や綾さん、それに和佳奈さんは同じ大学に行くみたいだが、お前の脳ミソでは無理だろ、筋肉バカ」
葵「そこまで言うか……」
涼「そこまで言うよ」
鬼のような一言である。
涼「お前以外は優等生だが、お前は劣等生だろ」
葵「……体育10だから推薦とれんかな……」
涼「あそこの大学は体育系はいらんそうだ」
葵「じゃあ、無理かな……」
……無理かなというよりは無理だ。
そう言いたくてたまらなかったが、これ以上言うと和佳奈さんが怒りそうなのでやめた。
和「そんなにまで、私と同じ大学に?」
葵「まあ…、好きな人と同じ所に行きたいもんだし……」
和「どこの学科へ?」
葵「んー、あそこの大学は医学関連の科があったから、そこへ」
和「えっ、それじゃあ将来は医者?」
葵「いやいや、そうじゃなくて近所のお医者さんみたいなのにあこがれてんだ、まあ理想だけどね」
和「がんばってくださいね。もし合格できたら………えっ……と」
和佳奈さんは合格のご褒美が思いつかなく、医者を目指すという事でピンと思い浮かんだモノを言った。
和「お医者さんごっこ…とか」
その言葉を聞いた30秒後、
自ら口に出した事をようやく理解し、和佳奈さんは真っ赤になった。
和「ご、ごめんなさいっ、忘れてくださいっ!」
時すでに遅し。
葵「和佳奈さん、俺すっげえやる気出てきた!頑張るよ!」
……………まあいいか。
好きな人になら構わないけど……………けど………けど…。
心境は複雑だった。
その後、この言葉の効果は絶大で、葵は奇跡的に合格した。
約束であるお医者さんごっこはまた別の話ということで。