情熱セツナ

夜。
ピンポーン。
時計を見ると、午後8時。
潤子「誰かしら…こんな時間に」
玄関に向かい、ドアを開ける。
そこには涼君がいた。
潤子「どうしたの?涼君」
涼「…ごめん、どうしても『おやすみ』って言いたくて…」

ぽっ

潤子「なんでそういう変な事いうのよ」
ときめいてしまったが、なんとか平静を装うとする。
まったくもう、涼君たら…。

自分の部屋で涼君と話をしている。
涼「ん…もうこんな時間か」
自分も時計を見る。
もういつの間にかこんな時間になっている。
涼「ん、そろそろ帰るよ」
潤子「え?もう帰っちゃうの?」
正直なトコロ、まだ帰ってほしくはなかった。
涼「よっと」
涼君が立ち上がる。
涼「なに、明日になればまた会えるし」
明日なんて待てない。
素早く立ち上がり、玄関へ向かおうとする涼君の上着をつかんだ。
涼「え?」
潤子「…帰ら…ないで」

自分の言った言葉がどんな意味を持つか。
涼君はきっと把握したのだろう。
離れたくはなかった。
1時間でも、1秒でも、刹那でも。
涼「…いいの?」
潤子「…うん」
涼君は私の事をどんな風に思ってるのだろう。
はしたない女と思ってるのだろうか。
でも、それでもいいと思った。
実際に、抱かれたいという欲望はあったから。
涼君がこちらに振り向き、
じっとこっちを見る。
見る、というより見つめるといった方が正しかった。
その瞳で見つめられると、どうにかなってしまいそうだった。
すっと涼君の唇が近づく。
私は目を閉じて、そのまま唇を重ねた。
しばらくキスを続けていると、やがてキスは激しくなってくる。
つん、と自分の唇に何かがあたる。
涼君の舌だ。
舌に誘われるように口を少しだけ開く。
そのわずかな隙間に、舌が入り込んでくる。
自分の舌で涼君の舌に触れる。
ぞくり、と背筋に刺激が走る。
気持ち悪くはない。
最初は舌で舐め合うということがよくわからなかったが、次第に自分の興奮を促すものになっていた。
唇が離れると、今度は首筋に来る。
潤子「ふうっ…んっ…」
その刺激に声が漏れる。
自分の声というのはこういうものかと実感させられる。
首がきゅうっと涼君の口に吸われる。
潤子「んんっ…」
刺激が自分の足のバランスを狂わせる。
まともに立っていられなくなってきた。
それを察したのか、涼君は私の腰と背中に手を回し、すうっと抱き上げる。
俗に言うお姫様抱っこだ。
普段なら恥ずかしいのだが、スイッチが入ったこの状態では心地が良い。
ぽふっとベッドに寝かさせられ、受け入れるのを待つ形になった。
上着とジーンズを脱がせられ、下着姿になる。
下着姿になるというのがこうも恥ずかしいとは思わなかった。
再び首筋にキスをされる。
潤子「んっ…」
キスをした直後、耳に囁いてきた。
涼「痛かったら、ごめんね」
その言葉を聞いた時はどういう意味なのか理解できなかった。
けど、次の瞬間に理解できた。
首筋にビリィッという刺激が走る。
潤子「ひゃうぅっ!」
痛くはない。
痛いと思う境目の手前。
首筋に意識を集中させると、涼君の歯のラインが想像できる。
噛まれてる…!
潤子「やぁっ…かんじゃ…」
気持ちいいのだが、刺激がかなり強い。
今度は肩。
潤子「あぅぅっ…」
続いて鎖骨。
潤子「ふゃんっ…」
そのまま涼君は下の方へと動く。
歯が脇腹にこつんと当たる。
脇腹…!
潤子「やぁっ…そこっ…だ…」
弱い所なの!
かぷっという音と共に噛まれる。
潤子「…めええぇっっ!」
刺激は全身に走り、軽い絶頂を迎える。
潤子「か…かんりゃ…やぁぁ…」
呂律が回らない。
背中に涼君の手が入り、ブラのホックが外される。
途端、肩に固定されていたブラの紐がふにゃっと肩の外側にずり落ちる。
涼君がずり落ちたブラを取ろうとし、私もそれに合わせて腕を動かす。
胸が露になり、恥ずかしさが頭の中でいっぱいになる。
ただ、その恥ずかしさの中の一部が、別の感覚に変換されつつあった。
直前の甘噛みによるものだ。
胸の先端が涼君の口に含まれる。
潤子「んんっ…」
胸の先から弱い刺激が全身を走る。
もう片方の胸は涼君の手に包まれる。
きゅうっと揉まれ、手の力で形が変えられる。
潤子「んっ…あんっ…」
胸を吸われている光景を見ていると、赤ちゃんを想像させられるが、実際は大違い。
赤ちゃんは母乳を、栄養を得ようとしているが、この場合は快楽をこちらに与えようとしている。
揉まれている胸が熱くなっていく。
その感覚が表面化し、胸の先端が少しずつ大きく、固くなっていく。
それを察知してのか、涼君は揉むのをやめて、先端をつまんでくる。
潤子「ひゃんっ…!」
先ほどの揉まれた時とは違う、強い刺激が襲う。
つまむだけではなく、引っ張られたり、曲げられたり。
潤子「んんっ…ああんっ…ゃあっ…」
もうやられ放題。
涼君の口が少しずつ、少しずつ下の方へと動いていく。
最も大きい性感帯へと近づいているのがわかる。
やがてその中心に口元が辿り着いた。
直後、下半身に刺激が走る。
潤子「ふゃあっ…ふゃぁぁっ…!」
舌で舐められる度に、ぞわっ、ぞわっと身体中を快感が走る。
頭の中が白くなってくる。
潤子「や…あっ…おねがい……き…て…」
舌だけでは物足りないし、これだけで絶頂を迎えたくはなかった。
私の状態を察したのか、涼君は愛撫をやめてくれた。
涼「入れるよ…」
潤子「うん…」
涼君のが私の中にゆっくりと入ってくる。
潤子「んっ…」
先端が入り、そのまま涼君のが奥へと入る。
その際の刺激が、私を絶頂へと迎えた。
潤子「あああっ…!」
頭の中が白くなり、その白さは徐々になくなっていった。
やがて正常に戻った途端、動きが始まった。
わざとだ…!
潤子「もっ…おっ…いじわるぅっ…!」
もっとしてほしい。
そう思いつつ言ったのだが、これはおねだりになるのだろうか。
背中に手を回され、ひょいと起こされ、そのまま動かされる。
ずんっ、ずんっと奥の部分を突かれる。
それがすごい気持ちいい。
潤子「あぅっ…!ふゃああっ…ああんっ…!」
刺激に耐え切れず、声が漏れる。
口元から涎がこぼれるのがわかる。
でも、それを止める余裕はないし、止めたくなかった。
今が、すごくうれしい。
頭の中が白くなっていく。
潤子「りょおくんっ…もう…だ…めぇっ…」
涼「うん…俺も…」
さっきよりも激しく動かされる。
潤子「ああっ…あんっ…ふゃあっ…あっ…ああっ…」
涼「くっ…」
中で何かが爆発したように注がれる。
潤子「あっ…ああぁぁっ…!」
それと同時に、頭の中が真っ白に。
このまま身体ごとどこかへ飛んでしまいそうになる。
そんなことは絶対にないが、それに抵抗するように、涼君に捕まるように抱く。
潤子「あっ…ぁぁっ……ぁぁ……ぁ…は…あっ……はあ…」
大きな快感が通り過ぎ、心地良い時間が来る。
ちょっとした疲労と共に、眠気がゆっくりと襲ってくる。
私はそのまま、眠りに落ちた。
愛する人を、抱きながら。

後書き

今回のタイトルは安倍麻美から。
…疲れました。
女性視点で書くと面白いけど大変というのがわかりました。
まあ自分は男性なので女性の快楽の部分がまったくわかりません(当たり前ですが)。
女性の気持ちいいのと男の気持ちいいというのは多分別モノなんだと思います。
さて、進展話は次で終わります。
それでは次回にて。