なんか変だ!

ここ最近、2週間に1回、涼と臣と眞一郎が校舎の屋上に続く階段にてちょっとした猥談が恒例となっている。
ただ、もっぱら彼女がいるメンツ限定のため3人のみ。
そして内容は行為について。
眞「…そういやさ、2人はしてもらってんのか?」
涼「してもらうと言うと…奉仕の事か?」
眞「ああ」
臣「俺は…たまにしてもらうかな」
涼「俺も数える程度かな」
眞「俺は逆にさせないんだ」
涼「え?何で?」
臣「してもらえばいいじゃねえか」
眞「いや、だってよ。男のアレ口に入れるんだぞ。さすがに汚ねえと思うんだが」
臣「そしたら俺らだって女のトコ舐めねえだろ」
眞「女は用を足した後は拭くし、ウォシュレットとかで洗えるだろ?男はそんなマメじゃねえじゃん」
涼「でも男だったら一度はしてもらいたいと思うが…」
眞「もし女に生まれ変わって、男がしてくれって言ったらどうするよ?」
涼「やだ」
臣「いや」
眞「だろ?前世でしてもらったのにそれは不公平だろ?だからさせないんだ」
涼「生まれ変わるのは必ずしも女とは限んないし、人間とも限らんだろ」
眞「でも何度か輪廻転生をするからいつかは女になるわけだろ」
臣「そりゃそうだけどさ、でも今までの記憶を覚えてるわけじゃねえからしてもらってもいいんじゃねえの?」
涼「そうそう。男の特権だよ」

猥談の為、結論は出ない。
とりあえず他の人の意見はこういうもんだという程度だ。
猥談を終え、サークルの教室に向かう3人。
一方、別方向から潤子が。
3人の配置は涼を先頭にして涼の背後に臣と眞一郎。
親衛隊を髣髴とさせるポジション。
曲がり角を曲がろうとした瞬間、潤子もまた角を曲がろうとした。
臣「あ」
眞「あ」
2人が声を上げた時にはすでに遅かった。
ゴツン、という重い音を立てた。
2人の頭がものの見事にヒットした。
臣「うえっ、痛そう…」
眞「というか、大丈夫か?2人とも」
潤子「いってー…潤子さん、大丈夫?」
涼「大丈夫じゃないわよ、ちゃんと前を見なさいよね」

臣「……涼、お前何言ってんだ」
涼の奇妙な発言に臣は血の気が引いた。
眞「というか、潤子も何言ってんだよ」
潤子「何言ってんだって…痛えものは痛えんだ」
涼「まったくもう…まだ痛いわよ」
潤子「まったく、たんこぶ出来て…ん?」
涼「……え?」
涼と潤子がお互いを見つめる。
潤子「え?」
涼「え?」
今度はお互い自分の身体を触る。
涼「え!?」
潤子「え!?」
涼「ち、違うわ!」
潤子「ち、違う!何か変だ!」

芹「で…入れ替わったと」
梨「…あんたたち、科学では解明できない事をさらっとやってのけたわね」
潤「本当に涼なのか?」
潤子「ああ、俺だよ。何か知らねえけど」
茜「口調からすると本当のようやな」
涼「あんた達を騙す理由がないわよ」
美「…とにかく元に戻る方法を考えないといけませんね」
臣「そうだな…ぶつかって入れ替わったんだ。もう一度ぶつかったらどうだ?思いっきりゴツンって」
潤子「そうだな、それで戻るかも。いくよ潤子さん」
涼「う、うん」
潤子「せーのっ」
ゴツンッ
潤子「ぐおっ……どうだ、変わったか?」
芹「…その口調からだと変わってないね」
臣「ぶつかり方に問題があるようだな」
眞「そういやさっきはお互い歩いていて気付かずにぶつかったからな」
茜「同じ条件でやろ?意識してやったらできんで」
潤子「となると、また偶然でぶつかるしかないってことか」
涼「それしかないようね」
潤子「…まあいいや、それに潤子さんになれたってことは『潤子パンチ』が撃てるってことだな?」
梨「ああ、そうなるわね」
潤子「いやー、スーパーマンになった気分だな。おりゃっ」
壁に向かって殴る。
グキッ
潤子「痛えーっ!何でだ!?何でただのパンチなんだ!?」
梨「…身体が無意識のうちに拒絶反応を起こしてるみたいね」
潤子「なんだなあ…面白くもない……ん…」
ふと、何かに気付き、教室を出ようとする。
涼「ちょっと涼君、どこいくのよ」
潤子「小便」

涼「いやぁーっ!やめてぇーっ!」
潤子「無茶言うなよ!膀胱炎にさせる気か!」
涼「あたしの身体が勝手に動くのは嫌なの!」
潤子「別にいいじゃん。潤子さんのアソコは何度も見てんだし」
涼「そういうのを言うのが嫌って言ってんのよっ!!」

潤子の制止を振り切り、用を足す。

潤子「あー、すっきりした」
梨「…アンタ、潤子泣いてるわよ」
涼「あたしが…壊れていく…」
臣「壊れてるのはお前じゃないか」

結論として、ぶつかりのを待つしかないということで今日のところは解散となった。

で、翌日。
涼「あれ、涼君は?」
臣「涼はお前だろ」
眞「寝てる間に変わるってことはないか」
潤「あいつはまだ来てないぞ」
芹「いつもなら来てるはず…ん?」
どうも廊下が騒がしい。
何かあったようだ。
茜「誰か来とるようやな」
梨「大学に有名人はいないわよ」
臣「じゃあ、誰だ?」
涼「……ひょっとして」
その、ひょっとして、である。

ガラッと教室に入ってきたのは潤子(精神はもちろん涼)。
ただし、服装は尋常ではなかった。
どこかのお姫様が着ているかのような純白のドレスだった。
潤子「あら、皆さんおはようございます」
涼「いやああぁぁぁぁっっっ!」
臣「……何やってんだ、涼」
全員ドン引きである。
潤子「いやなに、せっかく女になったからさ、女を満喫しようと思ってさ」
梨「…潤子、また泣いてるわよ」
涼「あたしが…あたしが…死んでいく」

後書き

今回のタイトルは新堂敦士から。
かなり前から入れ替わりネタを考えており、いつか書きたいなーと夢見ておりました(笑)。
5、6年ぐらい前からですかね、ようやく叶いました。
なお、この話はちょっとだけ続きます。
しばらくの間混乱していてください(笑)。
それでは次回にて。