涼「う、うーん…」
目が覚めると、そこは知らない部屋だった。
というか見たこともない。
妙に赤々しい部屋。
妙な形のベッド。
………ラブホテル?
一体ここはどこだろう。
そう考えた時、頭痛が起きる。
痛みが重く鳴り響く。
ケガというより内部の痛みだ。
ここにどうやって来たのかわからないという事から、おそらく頭痛の原因は二日酔い。
……だめだ。
全然思い出せない。
一体何があったのやら。
その時、隣で何かが動く。
よく見るとベッドで寝ている自分のポジションは真ん中ではなかった。
やや端の所だ。
となると誰かと寝たという事になるが。
ぺらりと毛布をはがす。

芹禾だった。

時が止まった。
そして時が動き出すのがわかった途端、自分の尻を触る。
問題無し。
まだ芹禾は寝ているようだ。
……芹禾にこれまでの事を聞きたいが、聞くのが非常に怖い。
…………とりあえず逃げよう。

ラブホテルから出ると、割と見覚えのある景色が見える。
大学の近くだ。
とりあえずこのまま学校に行こう。

学校へと向かう最中に、自分のサイフを確認した。
まずは自分の状態を確認しなければ。
サイフにはレシートが入っていた。
居酒屋のレシートだ。
日付は昨日。
やはり頭痛の原因は酒だ。
注文した数と金額を見ると、結構な金額だ。
芹禾と2人で飲むには多すぎる。
となると、多数の人間と飲んだ事になる。
…居酒屋といえば酒。
酒といえば眞一郎、か。

眞「何だ。覚えてないのかよ」
涼「すまん、飲みすぎて覚えてないんだ」
眞「あんだけでか?ジョッキ5杯は飲むんじゃなくて舐めるようなもんだぞ」
涼「…そりゃお前はな。まあいいや、居酒屋に行った時の一部始終を教えてくれ」
眞「えーと、大学出てから臣と俺と涼と芹禾で居酒屋に行って、それから飲んだけど俺は用事があったんで途中で帰ったんだ」
涼「臣も飲んでたのか」
眞「ああ。だからそれ以降の事は臣が知ってるだろうな」

臣「昨日?なんだ、覚えてないのかよ」
涼「飲みすぎたみたいでな。悪いけど眞一郎が途中で帰った後の事を教えてくれ」
臣「眞一郎が帰った後も飲んで、居酒屋から出た時にはお前はべろんべろんの状態になってな」
涼「…俺、そんなに飲んだのか」
臣「正確には店員が水割りを間違えてストレートで入れちまったのを飲んだからだ」
…道理で記憶がなくなるわけだ。
臣「俺は帰る途中で別れたからその後は芹禾が知ってるな」
……やはり聞くしかないか。

芹「やあ涼。身体の調子はどう?」
涼「とりあえず二日酔いです」
芹「そうか。まあ、あれだけ濃いのを飲めば効くだろうね」
…聞くのがものすげえ怖い。
しかし聞かねば。
涼「臣と眞一郎から聞いたんですが臣と別れてから今朝になるまでの記憶がないんです。よ、よろしければ教えてく、くれませんか?」
芹「ああ、いいよ」
…あれ?
芹「とにかくひどく酔っててまともに歩けない状態だったからすぐ側にあったラブホテルに泊まったんだ」
…。
涼「そ、それがこの話のオチですか?」
芹「…オチって何だい?」
涼「い、いえ。何でもないです」

……まあ真実は案外あっけないものなんだなあ。
……………何故芹禾さんと寝た事に気づいた時、俺が自分の尻の安全を確認したのかは永遠の謎としておこう。

後書き

今回のタイトルは小松未歩から。
名探偵コナンの初期の歌でしたね。
この頃はコナンの歌=小松未歩というイメージがありました。
それから倉木麻衣、ガーネットクロウ…という感じで変わっていきましたが、やはり個人的にはコナンと言えば小松未歩だと思います。
さ、中途半端なホモネタになってしまいましたがしばらくは進展話はなく、ドタバタした話になります。
それでは次回にて。