WAR GAME

教授「おーい、男子全員いるか?」
教授が入ってくる。
涼「全員いますよ」
涼の言葉通り、全員いる。
もちろん女子も。
教授「よし、そんならこれから説明をするぞ」
潤「何の?」
教授「大学祭の代わりに、男子300人全員でハリセンの叩き合いだ」
茜「なんやそれ」
涼「大学祭やんないんですか?」
教授「…ほお、大学祭を行わなくなった原因の貴様が言うか」
今年の大学祭は涼のプロポーズ騒動によって生徒や教授達の脳みそから『大学祭』という言葉が吹っ飛んでしまい、気づいた時には毎年行われる日が目の前に迫っていた。
それもこれも涼と潤子のせいである。
芹「男子全員って…女子はないんですか?」
教授「…いやほら、女子が混ざると最悪ジャイス食らうだろ?」

ジャイス食らう→ジャイアントスイングを食らう→回される→マワされる。

男子「ああ、なるほど」
梨「何よ、ジャイスって」
臣「お前は知らなくていいよ」
教授「で、叩くつっても喧嘩じゃないからな、ほら」
教授が渡したのは紙風船。
涼「なるほど紙風船を叩くわけか…ん?何か入ってますけど?」
教授「この紙風船の中にはな…よっと」
紙風船を割ると、中に小さいプラスチックの板が入ってある。
教授「このプレートをたくさん手に入れた男子がチャンピオンってわけだ」
茜「チャンピオンて…賞品あるんか?」
教授「もちろんだ」
芹「結託はアリですか?」
教授「ああ、賞品は3つあるから3人組でもいいぞ」
眞「おし、それなら2チームに分かれるか」
茜「せやな…俺は芹禾と組むで」
潤「そんじゃ俺も」
涼「となると自動的に俺と臣と眞一郎か…」
芹「それじゃ、お互い生き残ろう」
涼「はい」
芹禾達が教室から出て行く。
臣「…賞品があるのはわかったけど…中身なんだ?」
眞「そうだな、ろくでもないモノならやる気ねえし」
教授「ああ、賞品はこれだ、ほれ」
紙袋を取り出し、中身を涼達に見せる。
涼「!」
臣「!」
眞「!」
3人同時に目を見開く。
梨「ど、どうしたのよあんたたち!?」
その様子に梨花が驚く。
涼「…聞くまでもないと思うが、ガチでテッペン取るぞ」
臣「当たり前だ」
眞「久々に燃えてきたぜ…」

3人は教室を出る。
臣「優勝するっつってもどうするんだ?300人なんて相手にできねえぞ?」
眞「一網打尽にする方法とか考えねえとな」
涼「うーん…ん?」
廊下の窓を見ると、誰かが多くの生徒に追われている。
涼「あ、芹禾さんだ」
臣「ん、追っかけられてるな」
眞「すげえ数だな。50人以上はいるな」
芹禾達を要注意人物と判断したのだろう。
涼「さすがに3人…あれ、芹禾さんだけしかいねえな」
そして大勢の生徒が芹禾に追いつこうとした瞬間、
ズボッ
大勢の生徒が地面より深く埋まる。
落とし穴だ。
そして、横の茂みから2人が飛び出してきた。
潤と茜だ。
そして3人で穴にハマった生徒を叩きまくる。
涼「なるほど…落とし穴か」
臣「今からじゃ無理だろ?それに二度ひっかかる馬鹿もいねえし」
涼「なあに、別のモノを落とすだけさ」
眞「別のモノ?」

涼「だーっ!集中しすぎだろっ!」
50人どころか100人襲ってきた。
逃げるだけで精一杯。
涼「くそっ」
校舎の裏へと走る。
だが、そこには別の生徒達がいた。
涼「くっ、囲まれたか…」
じりじりと涼を包囲する。
涼「…なんてな…今だっ!」
涼が叫ぶ。
直後、空から大量のハリセンが落ちてくる。
パパパパパパパパパパパパンッ

臣「なるほどね、これもハリセンで叩いたと同じか」
眞「ハリセンなら大量に作られてるからな」
屋上では2人が大量のハリセンをぽいぽいと落としていた。
生徒達は追い詰めていたと思っていたが、実際は追い詰められていた。
眞「おっと、来たぜ」
屋上に上がってきた生徒が襲ってくる。
臣「タイマンだったら負けるかよっ!」
生徒の持っているハリセンを蹴り飛ばし、風船を割る。
元々そっち系であった臣なら楽勝である。

そしてあらかたの生徒を片付けた後、プレートを数える。
臣「49…50と」
眞「こっちも50だな」
涼「47だから…俺らを入れると150枚か」
臣「やっと半分か」
眞「芹禾達の動きが気になるな」
涼「落とし穴だけでも50は取ってるはずだな」
臣「…俺らと同じ150かもしれないな」
眞「頂上決戦、か」
涼「…屋上へ行ってみるか。多分あそこにいそうだ」
広さも十分だし、逃げ場も無い。
決闘としては最適な場所だ。

屋上へと続く階段を上り切ると、やはり3人がいた。
潤「よお、待ってたぜ」
臣「考えてる事は同じってか」
茜「俺らは自分ら含めて150枚や。お前らは?」
涼「同じだな」
芹「生き残ったのは俺達だけ、か」
眞「……ここで提案がある」
潤「何だ?」
眞「涼と芹禾のタイマンで決着をつけたい」
涼「え?俺?」
芹「…俺は構わないよ」
臣「お、おいちょっと」
眞一郎に耳打ちをする。
臣「3対3じゃねえのか?」
眞「それだと潤の存在が怖い。あいつはドラえもんの先祖だからな」
場合によって全滅もありえる。
臣「なるほど。タイマンなら封じ込めるな」
涼「…で、いいのか?俺で」
臣「ああ、お前に任せるよ」
涼「OK、なんとか勝ってみせる」
芹「よし、始めるか」
臣「…潤、まさかガトリング砲みてえにバカスカ撃ちまくる兵器はないよな?」
一応聞いてみた。
潤「いや、あるけど?」
…タイマンで良かった。
芹「茜、ハリセン1つよこしてくれ」
茜「ええで」
茜の放ったハリセンをつかみ、二刀流の形を取る。
涼「…臣、俺もハリセン追加。それとガムテープも」
眞「ガムテなんかどうするんだ?」
涼「んー、こうすんのさ」
2つのハリセンの取っ手の部分重ね、ガムテープで巻く。
涼「よし、こんなもんか」
くるくると回し、扇風機のようにハリセンが回る。
涼「さて……行きますっ!」
涼が芹禾めがけて走る。
旋風型ハリセンを回し、そのまま芹禾の風船を狙う。
芹「させるか!」
ハリセンを十字状に構え、防ぐ。
涼「まだだ!」
瞬時に手を逆手に変え、水平に振り、芹禾の頭部を狙う。
芹「くっ」
とっさにしゃがみ、素早く距離を取る。
芹「今度はこっちからだ」
芹禾は一気に距離を詰め、ハリセンを振り下ろす。
涼「何のっ」
ハリセンを受け止める。
だが、直後に別のハリセンが横から。
涼「つうっ」
上体を反らし、なんとか回避。
芹「そこだっ!」
足払いで、涼の足を払う。
涼「うわっ」
どんっ、と地面に倒れる。
涼の眼前にハリセンが向かれる。
芹「終わりだ」
涼「割られるまで終わりとは思ってませんよ」
芹「まだそんな余裕が…」
芹禾は異変に気づいた。
涼の手にしているハリセンが片方無くなっている。
芹禾の意識がそっちに向いた瞬間を涼は見逃さなかった。
涼「うおおおぉぉっ!」
手にしていたハリセンで、突き出ているハリセンの手を叩き、ハリセンを飛ばす。
そして、ハリセンを振った勢いを利用して、起き上がると同時に、蹴りを放つ。
その足の先にはハリセンがついていた。
倒れた瞬間に、ガムテープをほどき、足につけていたのだ。
パアンッ
足ハリセンは芹禾の頭上についていた紙風船にヒットし、紙風船は割れた。
芹「……くっ…」
芹禾は地面に膝をつく。
茜「いや、ケガしてへんから」
さらりとつっこむ茜。
臣「いよっしゃ!俺達の勝ちだ!」
臣と眞一郎はガッと腕を組む。
涼「勝った…か」
ふう、と一息ついた。
芹「見事だよ、涼。まさか足で叩くとはね」
涼「とっさに思いついただけですよ。ちょっとガムテがはがれてたのを見たもんで」
芹「賞品は涼達のモノだな」
眞「…悪いが、涼が負けても賞品は俺達のモノだと思うぞ」
潤「え?何でだ?」
臣「賞品の内容はすでに確認済みなんだ」
涼「…賞品は、うさ耳、バニースーツ、網タイツの3点セットですよ。それも3人分」
芹「そうか…俺達には関係ないな」
バタリと倒れる芹禾。
茜「いや、死なへんから」
さらりとつっこむ茜。
潤「確かに…俺達には無意味だな」
独身3人には無価値。
婚約が決定している3人にはお宝であった。

そして賞品をもらい、早速着てもらおうとするのだが…。
潤子「ヤダ」
梨「嫌」
美「嫌です」
3人は女性3人の拒絶によりガックリ。
着てもらえるとは限らない。
そんな考えを持っていない3人だった。

臣「頼む!お願いだからっ!」
梨「……もおー、しょうがないわね。着てあげるから貸しなさいよ」
臣「はーい(はぁと)」
ただ、信念を持って頼み込めばなんとかなるという奇跡もある。

後書き

今回のタイトルはビートマニアUDXから。
そもそも文化祭って1回しか体験してないんですよ、俺。
まあトラブルにより中止になってしまった時期だったようで。
そのせいか文化祭というものにあこがれを強く持っています。
Infinityでも文化祭を書いてましたが、理由は同じです。
文化祭のイメージと言えば出店ですが、こんなバラエティ色の強い企画もあってほしいなと思っています。
ちなみに『もやしもん』でも似たような話がありますが、意識して書いてはおりません。
すごい似てますけども(笑)。
それでは次回にて。