4…

不意に目が覚めた。
誰かに起こされた。
誰かに呼ばれたような気がする。
隣を見る。
綾が気持ち良さそうに寝ている。
となると…………………。
春「ふえっ………ぐす…っ………ん…くっ……」
やはりか。
とは言うものの、なんで泣いているのだろう。
涼「春香、どうした?」
春「おとうさぁん……」
春香が俺に抱き付く。
嗚咽が漏れる。
涼「よしよし……」
優しく背中を撫でて、泣き止むのを待った。

春香が泣き止み、そろそろ聞く事にした。
涼「春香、どうしたの?」
春「ゆめ、見たんです」
涼「……怖い夢かい?」
春香はコクンとうなづく。
おそらく、それが焼きついて離れないのだ。
それが怖い夢ならなおさらだ。
おそらく、しばらくは寝れないだろう。
だからといって、なんとかするのが父親だ。
さて、どうすればいいか………。
…待てよ、春香は俺の娘ではあるが、綾の娘でもある。
……………って事は、綾にやるような事をやればいいのか。
とすると…………。
涼「よし、じゃあ…お父さんと寝ようか?」
春香は安心した顔をして、うなづいた。

布団に入り、少し春香の様子を見た。
俺のパジャマの袖をつかむ手が震えている。
よほど怖い夢を見たのだろう。
眠れないほどに。
幼く、かわいらしい手を握る。
きゅっと春香を抱き締める。
春「おとうさん……」
涼「大丈夫。お父さんがついているよ」
春「おとうさぁん……」
春香も抱き返してきた。
泣き声ではあるが、恐怖によるものではない。
父親の優しさによって嬉し泣きによる泣き声だった。
涼「ふふ、泣き虫さん」
人差し指で涙をそっと拭った。
涼「いい夢を見るオマジナイ、しようか?」
春「うん…」
涼「目…つぶって」
春香はうなづき、目を閉じた。
涼「素敵な夢、見れますように…」
そっと額にキスをした。

目をゆっくりと開けると、優しい光が視界に入ってきた。
朝か。
むくりと起き上がり、ぐうっと背伸びする。
ふと、春香の事を思い出し、横を見た。
すーすーと気持ち良さそうに寝ている。
どうやら、いやな夢は見ていないようだ。
春「んっ………」
春香の方も目が覚めたようだ。
春「…おとうさん…………」
俺はくすっと笑って、
涼「いい夢は見れましたか?お姫様」
春「はい…」

後書き

ちょっと涼×春香になってしまいましたね。
ちょっとどころか、かなりかもしれませんが(苦笑)。
ceres氏はどういう反応でくるでしょうかね、こういうの。
今回は春香にはかわいそうでしたが、まあラストは良しとしますか。
まあラストはなんつーかまあ……王子様とお姫様みたいな状態に…。
おそらく誰もが『うわっ、くさっ』ってツッコまれそうですが(笑)。
とりあえず春香メインでなんとかネタを考えてみました。
とは言うものの、今回の作品の考案時間………記録更新の7秒。
打ち込みの時間はかなりかかったんですけどね。
それでは次回にて。