CU

春香が雪だるまを作っている。
小さいながらも、立派な丸型になっている。
土台はすでにできあがっており、あとは上に乗せる顔の部分のみとなった。
春「おとうさん、これ、上にのせてください」
涼「ああ」
春香が作った顔の部分を乗せた。
事前に集めた腕、目と口となる木片をつけ、雪だるまの完成となった。
春「できましたね」
涼「ああ」

綾「春香と一緒に出かけたらどうです?」
涼「綾は行かないの?」
綾「涼さんはここ最近春香と遊んでいませんから。たまには春香と遊びに行ったほうがいいですよ」
涼「……」
そういえばここしばらく春香と遊んでいない。
涼「そうだな……となると、どこに行こうか………おや?」
テレビでスキーのCMをやっていた。
まだシーズンオフではなかったようだ。
涼「……よし、雪遊びにでも行くか」
春香はまだ雪を見た事がない。
俺自身雪を見たのは数回程度だ。

しかし、スキー場に行く気はない。
悲しい事にソリが家にはないので滑る事は無理。
となると、雪合戦や雪だるまを作れる場所だ。

スキー場のその付近にキャンプ場らしき広場を見つけた。
そこは完全に雪で埋まっており、冬場はキャンプ場の機能をなしてなかった。
広さもあるし、なにより雪の量も豊富だった。
ここなら雪遊びを堪能できるだろう。

春「くー………くー……」
雪遊びを堪能し、遊び疲れたのかすぐ寝てしまった。
もっとも、俺は春香ほど遊んではいなかった。
春香の遊んでいる姿を見て楽しんでいた。
遊ぶ姿がたまらなくかわいく、車内で見ていた。
ふと、ガソリンの残量が足りないのに気付いた。
このまま帰っても問題は無いが一応入れておこう。

すぐにガソリンスタンドは見つかり、給油をした。
まだ春香は寝ている。
夜になって寝れないかもしれないが、明日も休みだしまあ問題はないか。
とりあえず起きた時に喉が乾いているだろうからジュースを買っておこう。
車から降りて、スタンド内の自動販売機へ足を運んだ。

自分用にコーヒー、春香にコーンスープを買った。
ぼちぼち給油も完了しているだろう。
車に戻り乗り込む。
春香はまだ寝ていた。
ふと、春香の寝顔を見て、思った。

君はあと何年、僕の恋人でいてくれますか。

いつかは好きな人ができて離れていくのかな。
…………ま、ろくでもない男だったらぶっとばすが。

12年後
春「ただいま帰りました」
涼「おっ、春香。お帰り」
あれから春香は成長した。
様々な出来事を迎えて、大人へと成長していった。
ま、一言で言えば俺好みになったというか。
涼「ああ、始業式か。道理で早いと思った」
春「はい。明日から転校生が来るみたいなんです」
涼「転校生……」
あの時と同じだ。
俺と綾が出会った頃のように。
立場は違えど、ひょっとしたら………。
………ろくでもない男だったらぶっとばすが。
やれやれ、俺も昔から変わってないな…。

そして物語は彩りから華やかなFLOWERへと続く。

後書き

と、いうわけで彩の最終回でございます。
FLOWERを考案した時に『彩のラストを考えないとなあ』と思っていました。
幼少時の春香を見て思った事、今はやっていませんが三菱自動車のCMからです。
あれを見て彩の終わりが出来あがりました。
Infinityと同様に涼と同じ視点にしたのは単なる使い回し…ではなく(笑)、涼は様々なものを見てきました。
綾、Infinity、彩、そしてFLOWERと時代を超えて一人の主人公をやってきた彼はある種歴史の生き証人へとなりつつあるからです。
ひょっとしてFLOWERも?と思われるでしょうが、さて…?
それではこのプロジェクト彩の終着駅、FLOWERでこの物語の続きを見ていきましょう。