LOVE WILL…4

雨が降っていた。
どしゃぶりだ。
きっと辺りは水溜りだらけだろう。
雨が降り始めて1時間は経とうとしている。
天気予報では晴れだったのに。
通り雨だろう。
信「幸枝」
不意に父に呼ばれた。
綾の母「お父さん、どうかしました?」
信「いやなに、外がこうじゃからな」
散歩が趣味のため、外が大雨ではどうしようもない。
よって、中でじっとしているわけだ。
綾の母「ふふ、退屈だから話でも?」
信「うむ」
信蔵は幸枝の隣に座った。
信「綾達は?」
綾の母「多分、あの子も同じだと思います。こんな雨では……」
信「……なあ、幸枝」
綾の母「はい」
信「……再婚する気、ないのか?」
ぴくっと幸枝が動いた。
綾の母「どうしたんですか、急に」
信「………綾も嫁ぎ、ひ孫も生まれた。お前が背負うものはなくなったとわしは思う」
綾の母「………」
信「…………忘れ…られないのか?」
幸枝はうなづいた。
綾の母「……あの人以外に……考えた事は……」
信「ふむ……」
綾の母「それに、お父さんが婚約を許した人ですよ」
信「……あの男は、純粋だった……」
綾の母「どうして、良明さんとの結婚を許したんですか?」
信「それは…涼と同じ目をしていたんじゃ」
綾の母「目……」
信「一点の曇りもない、純粋な目。玉の輿とかそんな欲を考えずに、ただ純粋にお前を愛している。そんな目じゃった」
綾の母「一目ぼれ……だったのかな……」
信「うん?」
綾の母「涼君が、綾を好きになったのが一目ぼれだったから、もしかしたら、良明さんも…かな、と」
信「……聞いて、なかったのか」
綾の母「えっ!?」
信「あの男と、酒を飲みながら話していた時、幸枝の話になったんじゃ、その時に一目ぼれだと言っておった」
幸枝は衝撃を感じた。
初めて、一目ぼれだと知った。
信「…幸枝には何も知らされていなかったか」
綾の母「きっと、照れくさかったんでしょう。あの人は、変な所で意地っ張りでしたから………」
信「………今さらかもしれんが、幸枝」
綾の母「はい」
信「お前は今、幸せか?」
綾の母「もちろんです」
幸枝は微笑んだ。
ふと庭に目をやると、雨は止んでいた。
綾の母「止みましたね、雨」
信「うむ……」
太陽が、庭の木々を照らしていた。
明日は、きっと晴れるだろう。

後書き

五年後シリーズ第7弾となりました。
前回はいかんせんあかんと思ったので(苦笑)、今回はシリアス方面にしました。
まあ前回もシリアスと言えばシリアスですが…。
さて、この親子の会話も4本目となりました。
次回の5でこの親子の会話も終了となります。
というより親子の通りは5通りしかないので終了せざるを得なくなります。
綾と涼のパターンあるじゃんと思いますがあくまでも対象が親子ですので却下となります。
それでは次回の涼と春香の会話でLOVE WILL…シリーズは終了となります。
それでは次回にて。