もう一度キスして

涼「なあ、綾………」
綾「何です」
涼「怒って、ないか………?」
綾「いいえ」
…………明らかに怒ってるのだが。

原因は多分俺だろう。
ここ最近春香にばかりかまっているからだ。
これによって綾は春香に嫉妬している。
とはいえ、自分の娘にやつ当たりすることはできない。
よって、ストレスを貯め込む形となった。
……………となると、方法はひとつしかない。

涼「と、いうわけでよろしくお願いしますね」
綾の母「そういう事なら、協力しますよ」
涼「お願いします」
信「綾のためなら協力しよう」
涼「ありがとうございます」
綾の母「それにしても、やっぱり夫ですね」
涼「え?」
綾の母「妻のためにそこまでしてやれるなんて」
涼「そりゃ……まあ……愛してますから」
綾の母「……そういうのはストレートに言うもんじゃありませんよ」
涼「………綾にも同じ事言われましたよ」

涼「綾」
綾「はい」
涼「明日から、俺達2人だけだから」
綾「えっ?」
どうして?という顔をしていた。
涼「まあ、答は明日にでもするよ」

そして翌日。
涼「それじゃ、行ってらっしゃい」
信「うむ」
綾「ゆっくりしていってください」
綾の母「ふふ、ゆっくりするのはあなた達の方でしょ?」
綾「………」
母さんの方が上手だ。
涼「春香、おじいちゃんの言う事、ちゃんと聞くんだよ」
春「はい、わかりました」

そして、家の前に残ったのは俺達2人だけだった。
涼「さて、これからどうするか、あ……や?」
すでに綾はいなかった。
……………………………やれやれ。

涼「綾」
居間を探したがいない。
涼「綾〜、どこだ〜」
廊下に出た途端、目の前が真っ暗になった。
涼「わっ」
綾「だ〜れだ?」
涼「綾…か」
珍しい。
いや、珍しいなんてもんじゃない。
普通はありえない。
とりあえず手をどかした。
涼「どうしたんだ、急に」
綾「ふふ………」
多分、だが2人きりの理由がわかったようだ。
綾「嬉しいです…私」
涼「ごめん、綾、春香にばっかりかま」
綾「言わないで、それ以上」
後ろからきゅっと抱いてきた。
綾「あなたが私を愛してくれている。それだけで十分です」
涼「本当に?」
意地悪そうに聞いてたみた。
綾「………やっぱり春香よりも…………」
恥ずかしながらも、嬉しそうに答えた。

そんなこんなでお昼が過ぎ、夕方。
涼「なあ、綾」
綾「はい、なんでしょう」
昨日のように怒ってはいなかった。
涼「今日の風呂、だけどさ」
綾「ええ」
涼「一緒に………入らない?」
綾「え」
瞬時に真っ赤になった。
涼「………だめ?」
わざとしょんぼりしたように言ってみた。
綾「い、いえ、そんな事は………」
涼「じゃ、決まりだね」
綾「あ…………」
見事に俺の策略にひっかかった。
綾「ずるいですよ……もう……」
涼「でも、本当は入りたかったんだろ?」
綾「……………………………はい」
涼「正直だな、綾は」
クスクスと笑いながらすっと綾に近付く。
涼「でも、俺はそんな綾が大好きだよ」
そう言って、
ちゅっ。
綾の額にキスをした。
綾「………………」
綾はのぼせそうなほど赤くなっていた。

晩御飯が済んで、夜。
約束の時である。
俺は先に入った。
さすがに同時に入るのは恥ずかしいと思うので綾を後にした。
ちなみに、『先手』はすでに打っておいた。

涼「あ、そうそう。水着はダメだから」
綾「あ………………はい………………」
綾はしょんぼりした。

これが『先手』である。
これでバスタオルの下は水着でがっくりというオチはなくなるわけだ。
しばらくすると、ガラガラと戸が開いた。
湯気であまり見づらいが、綾だった。
綾「お………お待たせしました…」
綾はバスタオルを巻いていた。
本当にバスタオルだけなのだろうか。
涼「……綾」
綾「ちゃ、ちゃんとつけていませんよ」
涼「ほんとかな〜」
綾「本当ですよ………ほ…ほら……」
胸の辺りのバスタオルをはだけさせ、胸元をちらりと見せる。
涼「いや、なにも見せなくても………」
綾「………………涼さんの意地悪………」
綾はすでに真っ赤になっていたがさらに赤くなった。
涼「かわいいな、ほんとに」
綾「もう……………入りますよ」
浴槽に入ろうと、足をあげる。
その時に、ちらりと色気のある太腿とかわいらしいお尻が見えた。
涼「綾………」
綾「はい?」
どうやら俺がそれを見ていたのに気付いていなかったようだ。
涼「…いや、なんでもない」
さすがにこれはセクハラになりそうだったのでやめた。
綾「…気になりますよ」
涼「どうしても、聞きたい?」
綾「はい」
涼「………今さっき、浴槽に入ったろ?」
綾「ええ」
涼「その時にな………見えた」
綾「…………ど、どこがです?」
涼「色気のある太腿とかわいらしいお尻」
綾「…………」
涼「ぶっちゃけるとセクシーだった」
綾「………聞かなければよかったです……」
口まで深く入り、ブクブクしていた。
『穴があったら入りたい』という状態だった。

綾「背中、流してあげますね」
涼「ああ、ありがとう」
ゴシゴシと一生懸命にやっているのがわかる。
ザパッとお湯をかけ、泡を洗い流す。
涼「さて…と、次は綾の番だな」
綾「えっ?」
涼「俺だけってのは不公平だろ?」
綾「で、でも……」
涼「…………嫌?」
またしても意地悪そうに言ってみた。
綾「い…いえ、そんな事は………あっ」
そしてまたしてもひっかかる綾。
涼「はい、というわけで座って」
綾「は…はい……」
渋々座る綾。
涼「あ、バスタオル取って」
綾「え…っ」
涼「取らないと、背中、流せないだろ?」
綾「は…はい」
綾はバスタオルをはらりと取った。
バスタオルの下には白く美しい背中があった。
キズやデキモノのない、透き通るような背中だった。
夜の行為の最中には気付かなかったが、今あらためて見ると綺麗だ。
涼「綺麗だな、綾の背中」
綾「そ、そんなことないですよ」
涼「謙遜しなくてもいいよ、こんな綺麗な背中……」
背中をすっとなでるように触る。
綾「んっ、くすぐったいですよぉ…」
涼「あ、ごめんごめん」
セクハラまがい(というよりセクハラか)の行為をやめて、綾の背中を流す事にした。
痛くさせないように洗う。
涼「痛くないか?」
綾「いえ、ちょうどいいですよ」
涼「よかった……痛くさせるとせっかくの背中が台無しだからな」
綾「そ、そこまで言われると……」
綾は後ろを向いているが、多分真っ赤になっていると思われる。
洗い終わり、桶でお湯をすくって背中にかける。
涼「よし、完了」
綾「ほっ…………」
ようやくこの場から解放できると思っているようだった。
しかし、俺のいたづら心がそうさせまいとトドメをさそうとした。
涼「あ、まだだ」
綾「え?」
背中に近付いて、
涼「これで完了だよ」
背中にキスをした。
綾「きゃっ!」
びくんと綾が動いた。
綾「もう、何するんですか!」
そう言って、こっちに振り向く。
涼「…………」
綾「もう、黙っていないでくださいよ」
涼「…………それ」
ちょいと指差す。
綾「…え?」
俺の指差した方向は綾の胸。
さきほどバスタオルを取ったため、何もない。
涼「いつの間にそんな大胆になったんだ?」
俺に言われた瞬間、
ボンッッ
と、赤くなり、バスタオルを巻いた。
そんな様子を見て俺はクスクスと笑った。

で、夜。
涼「なあ、綾」
綾「わかりましたよ……もう」
もうどうにでもしての状態だった。
涼「じゃ、一緒に寝るか」
綾「え……あ、はい」
言ってしまったのでもう後には引けなかった。

そして夜も更けてきた。
綾「お待たせしました」
パジャマを着て、部屋に入ってきた。
俺はすでに布団の中に入っていた。
綾「それでは失礼します」
そう言って、俺の横に入った。
しばらくの間、お互いの目を見ていた。
涼「綾、嫉妬は消えた?」
綾「…わかりました?」
涼「普段はそういったのを表に出さないから、よっぽど溜まっていたんだろうな」
綾「ごめんなさい……涼さんにやつ当たりして……」
ああ、多分前日の事だろう。
涼「いや、悪いのは俺だ。綾にかまってやれなくて……ごめん」
綾「ふふ……お互い様ですね」
涼「確かに…な」
お互いに笑いあった。
涼「さてと、それじゃおやすみ、綾」
そう言って俺は綾をきゅっと抱いた。
綾「………これじゃ寝れませんよ……………」
そうは言っているが嬉しそうだった。
涼「そっ…か…」
そう言いつつ、頭をゆっくりと撫でた。
綾「ありがとう、あなた」
そう言って、綾はそっと俺にキスをした。

後書き

涼「おいコラ、ロリコン作者」
作「誰がやねん」
涼「YayaからFIFTHもらってそれにハマっているおめーだよ」
作「えー、あの子かわゆいやん(笑)」
涼「かわいい言わずしてかわゆいかい(笑)」
作「プリメにハマってた奴の気が知れるよ」
涼「で、シスコンならぬロリコン作者よ」
作「ぶっ殺すぞおまえ」
涼「で、今回のはどういうこったよ」
作「どうもなにも、今現在作者ができる最大の甘々ベタベタらぶらぶ作品だが(笑)」
涼「これでか?」
作「俺はベタベタなやつは好きだけども書けないんだよ」
涼「文章表現のなさがここに出たな」
作「ごもっとも」
涼「にしてもよ、マニアックすぎないか?」
作「何がだよ」
涼「背中にキス」
作「ああ、アレか(笑)」
涼「お前の趣味かい」
作「……そうかもしれんな」
涼「マニアックすぎんか」
作「そうかな〜」
涼「十分マニアックだよ、だって以前のやつだってショートソックスだのブラウスが動くたびにお尻がちらりと見え…………って今回もお尻ネタ有りやん(笑)」
作「いや、最近胸もいいがお尻もいいかなと(笑)」
涼「変わったな、お前…………(遠い目)」
作「最近になって肉より魚がいいとか、ハンバーグやとんかつに大根おろしかけて食べるのがうまくて」
涼「まあ、いかに趣味が変わっても綾馬鹿は変わらずってことか」
作「きれいなオチになったところでまた次回としますか」