綾「涼さん、誕生日おめでとうございます」
涼「ありがとう、綾」
綾「それと………その、プレゼントですけども………」
涼「思いつかなかった?」
綾「ごめんなさい、本当に………」
涼「いや、いいさ」
綾「でも、気持ちだけじゃ、涼さんは嫌ですよね」
涼「う――――――――ん、まあ、確かに…………」
綾「ですから、涼さんが私にしてほしい事、ありますか?」
涼「してほしい事、か」
……………あるにはあるが……………………………。
いや、駄目だろう。
涼「無理だな、やっぱ」
綾「いえ、どんな事でもします」
いかん、口に出しちまった。
涼「いや、これは無理だと思う」
綾「そんな事ありません」
綾の口調が荒くなってきた。
このままだと綾が怒り出しかねん。
涼「本っっっっ当にいいんだね」
綾「はい」
涼「本当の本当に?」
綾「は、はい」
何度も聞いてくるせいか、綾も自信がなくなってきた。
涼「よし、わかった。じゃあ、ちょっと耳貸して」
綾「はい」
涼「実はね…………………ぼそぼそ」
綾「……………えーっ!!裸にエプロンつけてですか!!?」
涼「しーっ、声大きいって」
綾「で、でも………そんな事…」
涼「何でもやるって言わなかった?」
綾「ぇ……………は……はい……」
……………鬼やな、俺。
翌日。
信「なに、綾にじゃと?」
涼「はい」
おいおい、おじいさんから妙なオーラ出てるよ。
信「わしの大切な孫にそんなはしたない事させるのか」
涼「綾を俺にくれたのはあなたでしょ」
信「うぐっ、綾を嫁にいかせたのは失敗だったか」
涼「そこまで言うかい」
信「とにかく、綾にはそんな事はさせんぞ」
涼「なんでですか〜、おじいさんかて当時奥さんの着物の帯ひっぱって『あ〜れ〜』ってやらせたでしょ」
信「………………うむ」
………結局、おじいさんも男か。
綾の母「お父さん、母さんにそんなことしたんですか」
おや、母さんまで。
なんとか、母さんも説得させないと。
涼「へえ、じゃあ、母さんは旦那さんにそういうのはなかったんですか?」
綾の母「そんな事は…………………あっ」
……………………………………あったのか。
涼「ありましたね」
綾の母「………その……………メイドの服を……」
…………すごいな、それ。
涼「じゃ、俺が綾にそういう事してもいいってことで……異論はないですよね」
誰も文句は言わなかった。
涼「というわけで、おじいさんと母さんからの了承を得た」
綾「ほ、本当ですか」
涼「というわけで、やるか…………と、言いたいところだけども」
綾「えっ?」
涼「本当は恥ずかしいんだろ?」
綾「は、はい…………」
涼「というわけでね、裸エプロンをやめて、下着とYシャツ姿になってもらう」
綾「え?」
綾はどんなものか想像できなかったようだ。
涼「ま、やってみればわかるさ」
綾「こ、こ、こんな格好なんですか!?」
涼「うん」
ちなみにYシャツがなかったので綾のブラウスで代用。
綾「これ………恥ずかしいですよ」
説明すると、足は無論生足。
靴下はショートソックス。
スカートはなく、ショーツのみ。
そして上はブラとブラウスのみ。
ショーツがブラウスで見えないが、時折チラリと………。
トントントントン………。
そんなこんなでその格好で朝ご飯を作ってもらっている。
綾「あ…あまり見ないでくださいね」
涼「そう言われても…もうず〜っと見てるけども」
綾「ええっ!?」
バッと手でお尻を隠す。
涼「あ〜や、料理が進まないよ」
綾「は…はい……」
渋々と料理を続ける。
そんなこんなで料理完成。
涼「うん……おいしいな」
綾「よかった……」
涼「ふ〜、にしても……」
綾「え…?」
涼「誕生日最高〜」
綾「もう……涼さんたら………………」