涼「ん……………なんだこりゃ?」
小包が届いたのだが、身に覚えがない。
涼「俺宛てになってるけど……………どこから………あ、懸賞に応募したんだっけ……」
どうやら当たったみたいだが………。
確か、応募したのは目覚まし時計だった。
目覚まし時計が壊れたんで試しに応募したんだ。
んじゃ、早速使ってみますか。
中を開けて、取り出してみると、四角い形状のやつだった。
涼「うん?………この部分なんだろ…」
普通の目覚まし時計にはない部分があった。
見たところ、スピーカーみたいだが………。
説明書、読んでみるか。
……………これはどうやら録音したのをそのまま目覚まし音として使えるようだ。
……とはいうものの、自分の声で起きてもなあ…………。
あ、そうだ。綾の声で起きればいいじゃないか。
綾「私の声で、ですか?」
涼「うん。朝から綾の声で起きれれば最高だな、と」
綾「……嬉しいですけど………ちょっと照れますね…」
はにかみながらポリポリと頬をかく。
まあ照れさせる事はしょっちゅうなんだけど。
というわけで声を吹き込んでもらった。
ただ、声を吹き込む時にいられると恥ずかしくてできないそうなので俺がいないところで録音してもらった。
綾も興味をもったようで、俺の声を録音して使ってみたいそうだ。
よって1日交代で使う事になった。
1日目
『おはようございます、涼さん。今日も頑張ってくださいね』
ふむ………やっぱこういった方が目覚めがいいな。
2日目
『おはよう、綾。よく眠れたかい?』
涼さんらしいな……この起こし方。
3日目
『おはようございます。よく……眠れましたか?』
ん……微妙に変えてきたか。
4日目
『綾、おはよう。そろそろ起きる時間だ。寝ぼけ顔をしゃっきりさせないと』
…………涼さんったら…。
5日目
『涼さん、そろそろ起きないと朝ご飯抜きですよ』
…………攻め方をかなり変えてきたか…。
6日目
『綾、昨日あんなに激しかったからって眠ってちゃだめだぞ』
りょっ、涼さん!
7日目
『あの…………………来ないんです』
えっ!?
『……………………嘘です』
……………この娘さんは…。
8日目
『………綾、早く起きないと…あ』
…………『あ』って何です?『あ』って何ですか!?
9日目
『………………………………ちゅっ♪』
………音で目覚めたというより、その音を録音した状態が気になって起きてもうた。
10日目
『綾、早く起きないと………しちゃうよ』
……そう簡単には驚きませんよ。
「だってすぐ隣にいるから」
「えっ!!??」
涼「ま、今日は休みだ・か・ら…………いただきますっ」
綾「きゃ……っ……」