サー…………
雨が降っていた。
しとしとと降っていた。
綾「止みませんね、雨」
涼「ああ」
涼はぐっと伸びをする。
涼「しかし中途半端な雨だなあ。降るんだったら思いっきり降ってほしいよ」
綾「涼さんはこういう雨は嫌いですか?」
涼「うーん、まあ雨そのものが好きじゃないからね。それだったらいっその事集中豪雨みたいに降ってくれれば逆にせいせいする」
綾「そうですね……でも、こういう弱く降っている雨は、涙だと思うんです」
涼「涙?」
綾「涙はそんなに多量に流れないでしょう?だからこの雨は涙だと思うんです。誰かのために泣いていると思うんです」
涼「……もし、これが涙だったら、誰のために泣いているの?」
綾「………そうですね、私と涼さんのためだと思うんです」
涼「でも、涙だろ?涙は…」
涼が言い終わる前に、綾はきゅっと涼を抱きしめる。
綾「今の雨は嬉し泣き。私はそう思います」
涼「…」
綾「好きになれます?この雨…」
涼「多分…」
サー……
雨は降り続けている。
涼「止まないね。雨」
綾「そうですね…」