ふと、目が覚めた。
雨音が聞こえる。
そういえば天気予報で深夜から朝方にかけて雨が降ると言っていた。
今は何時なのだろう。
時計を見ると、午前6時を指していた。
もうすぐ朝になろうとしている。
胸元で涼さんがもぞもぞと動いた。
いつの間にか、涼さんを抱き締めているような体勢になっていた。
寝ている最中に抱いたのだろう。
涼さんはすやすやと寝ている。
………涼さんは強い人なのか、弱い人なのか、どっちだろう。
私が意識不明の状態になった時、涼さんは絶望を見ていた。
けれど、それを越えて涼さんは私を護ろうとした。
強い人なのかもしれない。
けれど、私の存在がまたなくなってしまったら涼さんはきっと絶望を見てしまう。
だから、弱い人なのかもしれない。
でも、私にとって強くても、弱くてもどちらでもいい。
私には、涼さんしかいないのだから。
綾「……涼さん、雨っていつ止むかわかりますか?」
正確に止む時間はわからない。
天気というのは人の域ではなく、この星そのものの呼吸だと思っているから。
けれど、はっきりしている事がある。
綾「雨は……きっと、止みます」
それだけは、確かだから。
雨音がさっきよりも弱くなっていくのがわかる。
やがて、雨音が止んだ。
窓の色は少しずつ灰色から明るさを放ち始める。
次第に、鳥の声が聞こえる。
雨はもう、降っていない。
そして、私の胸元で気持ち良く寝ている涼さんに囁く。
綾「ほら、晴れた」