夜。
夫婦がする事といえばアレしかない。
戸締りも済んであとは寝るだけ。
すでに合図(首の後ろをツンツン)も出して了承している。
が、綾の表情が暗いというか重いというか。
いつもだったらはにかんでいるのだが。
涼「ど、どうしたの?なんかすごくしたくなさそうな顔なんだけど」
綾「…………そ、その…ですね…」
綾は後ろに手を回し、何かを取り出す。
本だった。
正確には漫画。
もっと厳密に言えばエロ漫画。
ものすごく正確に言えば自分がなんとなく選んで買ったエロ漫画。
涼「あっ!?」
なんか最近見ないなと思ったらそういう事か。
………という事は……読んだのか。
涼「………読んだの?怒らないけど」
綾は顔を真っ赤にしてうなずいた。
綾「こ、こういう本の女性みたいに私上手じゃないから涼さんを満足させていないんじゃないかって……」
………………。
ああ、コンプレックスを感じているのか。
重い表情の原因はこれか。
涼「………ふふっ」
思わず笑みがこぼれる。
エロ漫画をひょいと取ってぽいっとベッドの横に投げる。
そして綾をぎゅっと抱き締める。
綾「あっ…………」
涼「そんな必要は無いさ。物足りないなんて一度も思った事無いし」
綾「涼さん……」
涼「そのまんまの綾が可愛くてしょうがないもん」
手を綾の胸元に伸ばし、優しく上下に揉む。
綾「んっ…」
残りの片手でパジャマのボタンを上から順番に外していく。
ボタンを外すにつれて首元から鎖骨、胸元と肌が露出していく。
そして小さいながらも綺麗な形の胸も露出される。
肌はそのまま露出されたままだったので今日はノーブラだったのだろう。
もしかするとエロ漫画の事で頭がいっぱいでつけ忘れたのだろう。
こういう純粋とも単純ともいえる部分も好き。
両手で胸を優しく揉む。
綾「はぁっ………んんっ……」
ぴくっ、と軽く躰を震わせるように綾は動く。
身をよじる等の抵抗の動きは無い。
自分を信じて躰を委ねている。
それに応えるかのように胸をさらに愛撫させようと胸の先端を口に含む。
綾「ゃっ……」
先程より強い刺激に声が漏れる。
舌で優しく転がしたり、上下に激しく当てる。
綾「はっ……はぁっ……」
呼吸が荒く聞こえる。
口を離すと、胸の突起は今の綾の心境を表現しているかのように固くなっていた。
こちらの唾液がコーティングされ、より淫靡に見える。
胸を愛撫していた手をゆっくりと下のほうに動かしていく。
綾「っ……んっ………あっ……」
大事な場所へと近づくごとに綾の反応が大きくなっていく。
パジャマのズボンを下ろし、下着一枚だけとなる。
下着の中に手を入れ、割れ目をなぞる。
綾「あっ………ゃっ………」
刺激に耐える事ができず、声を発した。
綾の唇を見る。
少しだけ開き、熱を帯びた呼吸をしているのがわかる。
日常の清楚なイメージとは違う、『女』の唇だった。
その唇にキスをし、割れ目をさらにいじめる。
綾「んんっ…んっ…んーっ………んんんっ!」
より割れ目をいじるたびに声が漏れる。
ぐちゅぐちゅとより激しく指で綾の中を犯していく。
綾「んんーっ!」
びくんっと綾の躰が跳ねる。
軽い絶頂を迎えたようだ。
綾「はーっ……はぁーっ…!」
唇を離すと、綾の呼吸は先程よりも荒い。
もう準備はいいだろう。
綾の手を持ち、その手をこちらへと引き寄せ、自分のモノを握らせる。
綾「っ……!」
そのモノの形状に驚き、顔を真っ赤にした。
すでにこちらも準備万端だった。
涼「…わかる?綾のえっちな声を聞いただけでこうなっちゃった」
もうこちらが不満とは思うまい。
…もう少しだけいじめよう。綾のリアクション楽しいし。
涼「…どんな風にされたい?」
綾「えっ………ええと………その……」
綾の顔はすでに真っ赤だったが耳の先まで赤くなった。
綾「いっぱい…………愛してください……」
これ以上の表現はできなかったのだろう。
もちろん、綾の要望に応えるのが夫の務め。
綾の下着を脱がし、挿入の体勢を作る。
ゆっくりと綾の中へと進入していく。
綾「あっ……あぁっ………ゃあああっ!」
奥へと進むにつれて綾の声が激しくなる。
根本まで入り、綾の顔を見る。
求愛を感じて幸せを得ている顔。
それと同時により激しい求愛を求めている顔でもあった。
自分しか知らない顔。
そう思っただけで自分のケダモノが動く。
ゆっくりと入口まで戻り、再び最奥へと進む。
綾「ひゃあっ、んゃあっ、ああんっ!」
それに呼応するかのように綾の悲鳴が出る。
外へ、奥へ、自然と動きが早くなる。
綾「ひぃっ、いいっ、やああっ!」
綾もこの加速する刺激を追うように声が荒くなっていく。
声だけではなく、綾の中身もより求愛を欲するようにきつくなっていく。
終わりが近い。
綾を抱き上げ、耳元でささやく。
涼「綾……俺…そろそろ…」
こちらの言葉を聞いた瞬間、綾はぎゅっとこちらを抱きしめた。
綾「…………っ…!」
綾の声を聞いた瞬間、理性が飛んだ。
綾のお尻を両手で持って上下に激しく揺さぶる。
綾「あぁっ!?」
予想していなかった行動に綾の声がより甲高くなる。
中に思い切り出したい。
それしか考えてなかった。
綾「ひぃっ!やあぁっ!ゃめえっ!」
綾の声で限界とわかった。
それに合わせるように中に精を放つ。
綾「あっ……あっあ…ああああぁぁ!」
綾もまた絶頂を迎えた。
痙攣のような震えを数回した後、糸が切れたかのようにこちらに身体を預けてきた。
綾「はーっ……はーっ……はっ……はぁ……」
やがて激しい呼吸は穏やかになり、次第に寝息へと変わっていった。
腕枕で綾を寝かせ、綾の寝顔を見る。
気持ちよさそうな顔だった。
もう不安はないだろう。
…ふと、最中に綾が叫んだ言葉を思い出す。
綾「だしてぇっ…!」
滅多に出ない綾のタメ口。
………多分、綾は咄嗟に叫んだこの言葉を覚えていないだろう。
こういうのは『言った側』よりも『言われた側』の方が覚えているものだ。
……綾は自分が不満ではないかと思っていたようだが、そんな事はない。
綾の挙動が毎回新鮮に感じる。
何回食べても飽きない無限の魅力。
むしろ綾が不満を持っていないのか心配になる。
…そもそもあのエロ漫画は技術を学ぼうと買ったわけだし。
お互い一生懸命って事か。
そう結論をつけて瞳を閉じた。